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2013-02-28
ソース(記事原文):ニュース・メディカル
長期スピロノラクトン治療が心不全患者の左室拡張機能を改善
ニュース・メディカル(2013年2月28日)― JAMA 2月27日号に掲載の研究論文によると、駆出率が保持された心不全患者に対する長期スピロノラクトン治療は、左室拡張機能を改善したものの、患者の最大運動能力、症状、生活の質(QOL)には影響を与えなかった。
この研究論文の背景情報に、「心不全(HF)患者全体のうち50%以上は、駆出率(EF)が保持されたHFである。EF保持とは、心拍動によって血液が充満した心室から、送り出される血液量の割合が50%以上ということである」と書かれている。このようなHFの治療法は確立されておらず、その進行には、ホルモンのアルドステロンによる刺激が寄与すると考えられている。
ゲッティンゲン大学(University of Gottingen)(ドイツ)のフランク・エーデルマンM.D.(Frank Edelmann, M.D.)と同僚らは、EF保持のHF患者を対象として、アルドステロン拮抗薬のスピロノラクトンが拡張機能および運動能力に及ぼす長期的効果を調べる試験を実施した。このAldo-DHFと呼ばれる試験は、無作為化プラセボ対照試験であり、2007年3月から2012年4月にかけてドイツとオーストリアの10施設で行われた。試験の対象とされた患者は422例(平均年齢67歳)であった。彼らにはNYHA分類でクラスIIまたはIIIの慢性心不全があり、左室駆出率は50%以上を保持しており、拡張機能障害が確認されていた。患者らは、12カ月間、1日1回スピロノラクトン25 mgを服用する群(n = 213)か、または対応するプラセボを服用する群(n = 209)のいずれかに無作為に割り付けられた。主要評価項目は、心エコーによる拡張機能(E/e')の変化と、心肺運動負荷試験による最大運動能力(最大VO2)の変化であった。
研究者らは、スピロノラクトンによっていくつかの尺度(左室拡張末期の充満圧、左室リモデリング、神経液性因子の活性)が改善したことを明らかにした。最大運動能力の変化については、スピロノラクトン群とプラセボ群で有意差はなかった。スピロノラクトン群ではHFの症状やQOLに改善がみられず、6分間の歩行距離もわずかに減少した。「またスピロノラクトン群では血清カリウム値がやや上昇し、推算糸球体濾過量も減少したが、入院には至らなかった。」
彼らは論文の中で、「EFが保持されたHF患者のE/e'や最大VO2には、臨床的に重要とされる最低限の差が認められなかった。従って、拡張機能の改善が症候上・機能上・臨床上の評価項目に及ぼす影響をさらに評価するために、十分に検出力のある前向き無作為化試験をさらにいくつか行うのは当然のことである」と結論付けている。
拡張期心不全を定義し、そして有効な治療法を特定する
「つまるところ、Aldo-DHF試験は価値ある新しい情報を提供している。しかし、EFが保持されたHF(HFpEF)患者に対するミネラルコルチコイド拮抗薬(MRA)、つまりアルドステロン拮抗薬の有効性または安全性については、特に安心できる結果ではない」ハル大学(University of Hull)(英キングストン・アポン・ハル)のジョンG. F.クレランドM.D., Ph.D., F.R.C.P.(John G. F. Cleland, M.D., Ph.D., F.R.C.P.)とピエルパオロ・ペリコリM.D.(Pierpaolo Pellicori, M.D.)は、付属の論説でそう述べている。
「一方でMRAは、うっ血の管理、および突然の不整脈による死亡リスクを伴う利尿薬誘発性低カリウム血症(循環血中のカリウム濃度の異常な低下)の防止に有用と思われる。これらの有益性は、心不全の型とは関係しないが、肝うっ血のためアルドステロン代謝が障害されている患者のほうが著明となりやすい。例えば線維化、炎症、アドレナリン作用を軽減するなど、MRAは他の機序によってHFpEF患者に重要な効果をもたらすのか解明するには、さらに長い時間を要するかもしれない。」
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