以下の場合、ディプリバン1%を絶対に使用しないでください。
・ディプリバン1%の成分に対し過敏症の既往歴のある人
・妊産婦
・小児
【慎重使用】
・ASAIII、IVの人および衰弱の人: 無呼吸、低血圧などの呼吸循環抑制が起こるおそれがあるので使用速度を減速してください。
・循環器障害、呼吸器障害、腎障害、肝障害および循環血液量減少のある人: 無呼吸、低血圧などの呼吸循環抑制や覚醒遅延が起こるおそれがあるので、全身状態を慎重に観察しながら使用量や使用速度に注意してください。
・てんかん発作の既往歴のある人: けいれんが現れることがあります。
・薬物依存の既往歴のある人
・薬物過敏症の既往歴のある人
・脂質代謝障害の人または脂肪乳剤使用中の人: 血中脂質濃度が上昇する可能性があるので、血中脂質が過剰になるおそれのある人は、血中脂質をモニターし、ディプリバン1%または併用中の脂肪乳剤の使用量を調節してください。
・高齢者
【重要な基本的注意】
●共通
・ディプリバン1%の使用にあたっては、原則としてあらかじめ絶食してください。
・ディプリバン1%の使用にあたっては、気道確保、酸素吸入、人工呼吸、循環管理を行なえるよう準備しておいてください。
・ディプリバン1%の使用に際しては、一般の全身麻酔と同様、麻酔開始より完全に覚醒するまで、麻酔技術に熟練した医師が、専任で全身状態を注意深く監視してください。集中治療の鎮静に利用する場合においても、集中治療に熟練した医師がディプリバン1%を取り扱ってください。
・ディプリバン1%の使用中は気道を確保し、血圧の変動に注意して呼吸・循環に対する観察・対応を怠らないでください。
・ディプリバン1%の使用中は、適切な麻酔または鎮静深度が得られるよう全身状態を観察しながら、使用速度を調節してください。
・汚染防止: ディプリバン1%は防腐剤を使用しておらず、また脂肪乳剤のため汚染されると細菌が増殖し、重篤な感染症が起こるおそれがあるので、以下の点に注意してください。
1.開封後、無菌的に取り扱い、直ちに使用を開始してください。
2.ディプリバン1%に使用するチューブ類なども無菌的に取り扱ってください。
3.1アンプルまたは1バイアルを複数の人に使用しないでください。1人に対し、1回のみの仕様とし、残液は廃棄してください。
4.ディプリバン1%に使用した注射器、チューブ類およびディプリバン1%の残液は手術終了時または、使用開始12時間後のいずれか早い時点で廃棄してください。また12時間を超えて使用する場合は、新たな注射器、チューブ類およびディプリバン1%を使用してください。
・麻酔の影響が完全に消失するまでは、自動車の運転、危険を伴う機械の操作などに従事しないよう注意してください。
●全身麻酔の導入および維持の場合
・麻酔の深度は手術、検査に必要な最低の深さにとどめてください。
●集中治療における人工呼吸中の鎮静の場合
・ディプリバン1%の使用中は、鎮静レベルおよび中枢神経系機能の評価を必要に応じて行ない、鎮静に必要な最低使用速度を定めてください。
・ディプリバン1%使用中は、気管挿管による気道確保を行なってください。
・人工呼吸からの離脱の過程では、観察を継続し、必要に応じて人工呼吸を行なうこと。
・ディプリバン1%を長期にわたり使用する場合、特に熱傷、下痢、重度の敗血症の人などの亜鉛欠乏をきたすおそれのある人においては、必要に応じて亜鉛の補充を行なってください。
【適用上の注意】
●使用前
・使用前はよく振ってください。
・バイアルは使用前にゴム栓部をエタノール綿などで清拭して使用してください。
・エマルジョンに分離を認めた場合には使用しないでください。
・使用前にディプリバン1%をほかの薬剤(5%ブドウ糖注射液を除く)と混合しないでください。ディプリバン1%を5%ブドウ糖注射液(ガラス製容器)で希釈するときの希釈率は5倍を超えないでください(プロポフォール濃度2mg/mL以上)。希釈は使用直前に無菌的に行ない、6時間以内に使用してください。なおディプリバン1%の希釈液の使用速度の設定には注意してください。
・ポリ塩化ビニル製の輸液セットなどを使用した場合、可塑剤であるDEHPが製剤中に溶出することが報告されているので、DEHPを含まない輸液セットなどを使用することが望ましいとされています。
●使用経路
・ディプリバン1%は静脈内のみに使用してください。注射時にみられる血管痛は、前腕、前肘窩の比較的太い静脈へ注射することにより、最小限に抑えることができます。
●使用時
・注射部位の近位で三方活栓を介して、乳酸リンゲル液、5%ブドウ糖注射液、生理食塩液、ブドウ糖加乳酸リンゲル液とともにディプリバン1%を使用しても問題ありません。なお、ディプリバン1%は脂肪乳剤を含有しているため、ポリカーボネート性の三方活栓や延長チューブなどを使用した場合、そのコネクター部分にひび割れが発生し、血液および薬液漏れ、空気混入などの可能性があります。その場合、必要な使用量が確保されず麻酔覚醒などが生じる可能性があるので注意してください。
・ディプリバン1%を持続使用する場合には、使用速度を調節するため、シリンジポンプなどを使用してください。
・微生物ろ過フィルターを用いてディプリバン1%をしないでください。エマルジョンが破壊されることがあります。
【その他の注意】
・ディプリバン1%とアルフェンタニール(麻薬性鎮痛剤)を併用すると、アルフェンタニールの血中濃度が上昇するとの報告があります。
・ディプリバン1%の血管外漏出により局所疼痛、腫脹、血腫および組織壊死が報告されています。
・集中治療における人工呼吸の鎮静の目的で、ディプリバン1%を使用した重篤な人において、因果関係は確立していませんが、代謝性アシドーシス、横紋筋融解症、高カリウム血症、心不全が極めてまれに発現し、数例が死亡に至ったという報告があります。これらの症状を発現した人の背景に、組織への酸素供給の低下、重大な神経学的な障害(頭蓋内圧亢進など)や敗血症、血管収縮剤・ステロイド・強心剤ディプリバン1%の高用量使用が報告されています。
・重篤な症例で多剤を併用している場合、重度の肝機能異常が現れる可能性があります。
一般に高齢者では、肝、腎機能および圧受容体反射機能が低下していることが多く、循環器系などへの副作用が現れやすいので、使用速度を減速するなど全身状態を観察しながら慎重に使用してください。
妊産婦は使用しないでください。
授乳婦の人の使用は避けることが望ましいとされていますが、やむを得ず使用する場合には授乳を避けてください。
低出生体重児、新生児、乳児、幼児または小児に対する安全性は確立していません。
集中治療における人工呼吸中の鎮静においては、小児などには使用しないでください。