【警告】
・パクリタックス100mgを含むがん化学療法は、緊急時に充分対応できる医療施設において、がん化学療法に充分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施してください。また、治療開始に先立ち、有効性および危険性を充分理解し、同意してから使用してください。
・パクリタックス100mgの骨髄抑制に起因したと考えられる死亡例(肺血症、脳出血)あるいは高度の過敏反応に起因したと考えられる死亡例が認められています。骨髄抑制などの重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査など)を行なうなど、状態を充分に観察してください。
パクリタックス100mgによる重篤な過敏症状の発現を防止するため、パクリタックス100mg使用前に必ず前投薬をしてください。また前投薬を実施した人においても死亡例が報告されているので、状態に充分に注意し、重篤な過敏症状が発現した場合は、パクリタックス100mgの使用を直ちに中止し、適切な処置を行なってください。なお、重篤な過敏症状が発現した症例には、パクリタックス100mgを使用しないでください。
【禁忌】
・重篤な骨髄抑制のある人: 骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症を伴い、重篤化する可能性があります。
・感染症を合併している人: 骨髄抑制により、感染症を増悪させるおそれがあります。
・パクリタックス100mgまたはポリオキシエチレンヒマシ油含有製剤(シクロスポリン注射液など)に対し過敏症の既往歴のある人
・妊婦または妊娠している可能性のある人
・次の薬剤を使用中の人: ジスルフィラム、シアナミド、カルモフール、プロカルバジン塩酸塩
【慎重使用】
・骨髄抑制のある人: 骨髄抑制を俗悪させるおそれがあります。
・肝障害のある人: 代謝機能などが低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがあります。
・腎障害のある人: 腎機能が低下しているので、副作用が強くあらわれるおそれがあります。
・高齢者
・アルコールに過敏な人: パクリタックス100mgは溶剤として無水エタノールを含有するため、アルコールの中枢神経系への影響が強くあらわれるおそれがあるので、パクリタックス100mgを使用する場合には問診により適切かどうかを判断してください。
・間質性肺炎または肺線維症のある人: 症状を増悪させるおそれがあります。
【重要な基本的注意】
・骨髄抑制などの重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査など)を行なうなど、状態を充分に観察してください。異常が認められた場合には減量、休薬などの適切な処置を行なってください。また使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、使用は慎重に行なってください。A法では、白血球および好中球減少の最低値までの期間(中央値)はそれぞれ使用開始後11日後、13日後にあらわれ、最低値発現日から白血球、好中球ともに7日間(中央値)で回復しました。またB法では、白血球および好中球減少の最低値までの期間(中央値)はともに使用開始後22日後にあらわれ、最低値発現日から白血球、好中球はそれぞれ14日間(中央値)、13日間(中央値)で回復しました。なお、白血球減少が軽度ではあっても著名な好中球減少を発現する症例を認めていることから、血液検査の際には、白血球分画の測定を実施してください。またパクリタックス100mgの使用にあたってはG-CSF製剤の適切な使用に関しても考慮してください。
・重篤な過敏反応が起こることがあるので、観察を充分に行ない、重篤な過敏症状(呼吸困難、胸痛、低血圧、頻脈、徐脈、潮紅、血管浮腫、発汗など)があらわれた場合には、ただちに使用を中止し、適切な処置を行なってください。パクリタックス100mg使用開始後1時間は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍数)のモニタリングを行なうなど、状態を充分に観察してください。
・低血圧、高血圧、徐脈などが起こることがあるので、パクリタックス100mg使用開始後1時間は頻回にバイタルサイン(血圧、脈拍数)のモニタリングを行なうなど、状態を充分に観察してください。重篤な刺激伝導障害があらわれた場合には、適切な処置を行ない、その後のパクリタックス100mg使用に際しては継続的に心電図のモニタリングを行なうなど、状態を充分に観察してください。
・関節痛および筋肉痛が高頻度に起こるので、観察を充分に行ない、症状があらわれた場合には鎮痛剤使用などの適切な処置を行なってください。症状は一般に、使用開始後2-3日後にあらわれ、また、早朝のクール(1-3クール目)より発現する傾向にあるので、充分注意してください。
・発熱が高頻度に起こるので、観察を充分に行ない、解熱剤使用などの適切な処置を行なってください。発熱は一般に、使用開始簿約6-10日後にあらわれ、また、1クール目の発現頻度が高い傾向にあるので、充分注意してください。
・末梢神経障害が高頻度に起こるので、観察を充分に行ない、症状(しびれなど)があらわれた場合には減量、休薬などの適切な処置を行なってください。症状は一般に、使用開始後約3-5日後にあらわれ、また、使用が長く長期間にわたると発現頻度が高くなる傾向にあるので、使用は慎重に行なってください。
・感染症、出血傾向の発現または増悪に充分注意してください。
・使用初期または比較的低用量の使用でも副作用があらわれることがあるので、使用上の注意に充分注意してください。
・小児および生殖可能な年齢の人が使用する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮してください。
・パクリタックス100mgは無水エタノールを含有するため、前投薬で使用するジフェンヒドラミン塩酸塩錠とアルコールの相互作用による中枢神経抑制作用の増強の可能性があるので、パクリタックス100mg使用後の経過を観察し、アルコールなどの影響が疑われる場合には、自動車の運転など危険を伴う機械の操作に従事しないよう注意してください。
・頭頚部がん、食道がん、血管肉腫、子宮頚がん、卵巣がん(C法)、胚細胞腫瘍、胃がん(E法)にパクリタックス100mgを使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議公知申請への該当性に係る報告書」など)を熟読してください。
【効能・効果に関連する使用上の注意】
子宮体がんでのパクリタックス100mgの術後補助化学療法における有効性および安全性は確立していません。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
・使用時
1)
パクリタックス100mg使用時、A法では500mLの5%ブドウ糖注射液または生理食塩液に混和し、3時間かけて点滴静注をしてください。B法、C法およびE法では250mLの5%ブドウ糖注射液または生理食塩液に混和し、1時間かけて点滴静注射してください。D法では12時間ごとの2回に分けて調製および使用してください。パクリタックス100mg使用量の半量を250mLの5%のブドウ糖注射液または生理食塩液に混和し、12時間かけて点滴静注します。これを1回分として、2回連続して使用します。
2)
パクリタックス100mgの希釈液は、飽和状態にあるためパクリタキセルが結晶として析出する可能性があるので、パクリタックス100mg使用時には、0.22ミクロン以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを通して使用してください。
3)
点滴用セットなどでパクリタックス100mgの溶解液が接触する部分に、可塑剤としてDEHP(フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)を含有しているものの使用を避けてください。
4)
輸液ポンプを使用していパクリタックス100mgを使用する場合は、チューブ内にろ過網(面積の小さなフィルター)が組み込まれた輸液セットを使用すると、まれにポンプの物理的刺激により析出するパクリタキセルの結晶がろ過網を詰まらせ、ポンプの停止が起こることがあるので、ろ過網が組み込まれた輸液セットは使用しないでください。
5)
パクリタックス100mgは非水性注射液であり、輸液で希釈された薬液は表面張力が低下し、1滴めの大きさが生理食塩液などに比べ小さくなるため、輸液セットあるいは輸液ポンプを用いる場合は以下の点に充分注意してください。
①
自然落下方式で使用する場合、輸液セットに表示されている滴数で使用速度を設定すると、目標に比べ使用速度が低下するので、滴数を増加させて設定するなどの調製が必要です。
② 滴下制御型輸液ポンプを用いる場合は、流量を増加させて設定するなどの調製が必要です。
・前投薬
パクリタックス100mg使用による重篤な過敏症状の発現を防止するため、パクリタックス100mg使用前に必ず前投薬を行なってください。
1) A法
パクリタックス100mg使用薬12-14時間前および約6-7時間前の2回、もしくはパクリタックス100mg使用約30分前までに使用を終了するように、1回デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液(デキサメタゾンとして20mg)を静脈内使用、パクリタックス100mg使用約30分前までに使用を終了するように、ジフェンヒドラミン塩酸塩錠(ジフェンヒドラミン塩酸塩として50mg)を経口服用、パクリタックス100mg使用約30分前までに使用を終了するように、ラニチジン塩酸塩注射液(ラニチジンとして50mg)または注射用ファモチジン(ファモチジンとして20mg)を静脈内使用してください。
2) B法、C法、D法およびE法
①
パクリタックス100mg使用約30分までに使用を終了するように、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム注射液(デキサメタゾンとして8mg)およびラニチジン塩酸塩注射液(ラニチジンとして50mg)または注射用ファモチジン(ファモチジンとして20mg)を静脈内使用、ジフェンヒドラミン塩酸塩錠(ジフェンヒドラミン塩酸塩として50mg)を経口服用してください。
②
デキサメタゾンは初回使用時8mgとし、次回使用時までに過敏症状の発現がみられなかった場合、または臨床上特に問題のない過敏症状の場合は、2週目の使用より半量(4mg)に減量し使用してもかまいません。以降の使用週においても同様の場合m、半量ずつ最低1mgまで減量し使用してもかまいません。
・パクリタックス100mgの使用にあたっては、使用法ごとに下記に留意し、必要に応じ休薬、減量を実施してください。
1) A法: 白血球数および好中球の変動に充分留意し、使用前の臨床検査で白血球数が4000/mm3
未満または好中球数が2000/mm3
未満であれば、骨髄機能が回復するまでは使用を延期してください。使用後、白血球数が1000/mm3
未満となった場合には、次回の使用量を減少してください。
2) B法: 各クールを開始する際(初回クールを含む)、使用前の臨床検査で白血球数が3000/mm3
未満または好中球数が1500/mm3
未満であれば、骨髄機能が回復するまでは使用を延期してください。同一クール内でのパクリタックス100mgの使用にあたっては、使用前の臨床検査で白血球数が2000/mm 3未満または好中球数が1000/mm3
未満であれば、骨髄機能が回復するまでは使用を延期してください。使用後、白血球数が1000/mm3
未満となった場合にはm、次回の使用量を減量してください。
<減量の目安>
使用方法
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減量段階
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使用量
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A法
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通常使用量
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210mg/㎡
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1段階減量
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180mg/㎡
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2段階減量
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150mg/㎡
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3段階減量
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135mg/㎡
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B法
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通常使用量
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100mg/㎡
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1段階減量
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80mg/㎡
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2段階減量
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60mg/㎡
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また、重篤な末梢神経障害が発現した場合には、次回の使用量を骨髄抑制の減量の目安に従い、減量して使用することを考慮してください。