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2012-09-08

ソース(記事原文):JAAPA

慢性疼痛に対する抗うつ薬および抗てんかん薬の補助療法

JAAPA(2012年9月8日)― ダ・ヒー・ハン(Da Hee Han)PharmD

ネバダ州ラスベガス-テネシー州メンフィスにあるセント・ジュード小児研究病院(St. Jude Children's Research Hospital)のデボラA.ワード(Deborah A. Ward)PharmD, BCOP, BCPSは、ペインウィーク2012(PAINWeek 2012)で、疼痛管理のさまざまな補助療法に関するシンポジウムの指揮を執りました。

ワード博士は、痛みとは心身問題であるという意見から話し始め、これを「臨床医学における身体と心の相関性」と説明しました。慢性疼痛患者には、うつ病、不安症、人格障害、そして時には薬物乱用・依存障害といった精神疾患の併発がよく見られます。

ワード博士は小児腫瘍を専門としており、腫瘍以外の点では健康な小児および青少年の8%が重度の慢性疼痛を経験していると指摘しました。これは、学校の出席率低下、活動への参加の減少、睡眠障害へとつながることが多く、そのすべてが結果的には比較的高いレベルの苦悩、不安、抑うつをもたらす恐れがあります。

抗うつ薬の使用に関して、FDA(食品医薬品局)は2004年に、小児および青少年では自殺念慮・自殺行動のリスクが2倍になるという勧告を出しました。小児および青少年を対象とした抗うつ薬使用に関する無作為化試験すべてについて、徹底したメタアナリシスを実施した後、FDAは薬剤クラスに関係なくすべての抗うつ薬に枠組み警告を記載することを命じました。同様に、抗てんかん薬の使用をめぐるさまざまな安全性への懸念から、2008年にFDAは自殺念慮・自殺行動のリスク増加を反映するよう警告ラベルの変更を命じました。この変更は、11種の抗てんかん薬について評価したプラセボ比較試験199件のメタアナリシスの結果によるものでした。抗てんかん薬に共通の影響であることを理由に、ワード博士は「ある薬剤が他の薬剤よりも安全だとか優れているということではありません」と指摘しました。

小児領域の反対に位置する高齢者集団にも、自殺のリスクがあります。自殺未遂・自殺完遂は、小児および青少年よりも高齢者で多く記録されています。この痛みという心理社会的な複雑さの中で、精神疾患、身体疾患、疼痛、機能障害、社会的分離という5つの主要な危険因子が特定されています。

痛み以外の主要な適応がある薬で、痛みの病態のいくつかに対し鎮痛作用もあるというのが鎮痛補助薬の定義です。鎮痛薬の量を減らして副作用を抑えながら、疼痛緩和を強化することが期待されます。多数の鎮痛補助薬クラスの中から、ワード博士は抗うつ薬と抗てんかん薬に着目しました。

抗うつ薬は、痛みの経路が上行するのを阻害して、侵害刺激への注意に関与している前頭前皮質領域の活動を抑制することにより、併発している精神疾患を治療するとともに身体症状に直接的な効果を示します。適応は神経損傷から帯状疱疹後神経痛までさまざまです。薬剤の選択に関しては、うつ病の併発に関係なく患者の痛みを緩和するために、医師らは気分に対する効果とは切り離して鎮痛作用を持つ薬剤を特定する必要があると、ワード博士は強調しました。

主要なクラスとして、三環系抗うつ薬(TCA)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)が挙げられます。TCAは、さまざまな集団で安全かつ効果的に使用されてきた実績が最も長いクラスです。主な利点は、数十年に及ぶ使用経験と薬価が低いことです。欠点は副作用による用量制限が多く見られることで、小柄で虚弱な患者では起立性低血圧が使用の主な妨げとなっています。SSRIは痛みのコントロールにはあまり効果がなく、むしろ、うつ病治療のほうで有効性が確立しています。SNRIについてはTCAほどの効果はないものの、一般にTCAよりも忍容性が優れています。主な欠点は、この種の薬が肝臓で代謝され、多くの薬物相互作用があるという事実です。

抗てんかん薬についても、鎮痛補助薬として使用されている主要な薬剤がいくつかあります。カルバマゼピンは三叉神経痛の治療に用いられることが多く、糖尿病性末梢神経障害および帯状疱疹後神経痛にも多少の効果があります。フェニトインは多岐にわたる副作用と薬物相互作用の恐れがあることから、人気がありません。ガバペンチンは神経障害性疼痛に適応となった最初の抗てんかん薬で、現在は良性および悪性腫瘍と関連する神経障害性疼痛に使用されています。この薬は、薬物相互作用のない患者において忍容性が良好なことがわかっています。ガバペンチンの初回用量は、100~300mg/日から2,400~3,600mg/日まで広範囲にわたります。別の抗てんかん薬のラモトリギンは、三叉神経痛には多少の効果があるものの、他の神経障害では一貫した効果が見られません。この薬は、副作用を理由にその使用が制限されています。重症なケースでは、スティーブンス・ジョンソン症候群などの重篤な発疹を発症しました。

ワード博士は、プレガバリンに関する話題で締めくくりました。この薬は、一次求心性神経のa2δサブユニットに結合することで鎮痛をもたらします。複数の無作為化比較試験において、帯状疱疹後神経痛に対するこの薬の有効性が証明されています。プレガバリンの有効な1日用量の範囲は300~600mgです。他の治療に勝る利点として、1日2回の投与である、急速に漸増できる、鎮痛効果が早期にあらわれる、薬物動態が線形である、そして薬物相互作用が報告されていないことが挙げられます。

最後に、ワード博士は「臨床試験で明らかにされていることにかかわらず、薬に忍容性がなければ有効とはいえません」と述べました。抗うつ薬と抗てんかん薬のどちらも、疼痛治療に関する比較試験はほとんどありません。それらの使用の多くは、部分的に対照を置いた試験、対照を置かない試験、そして使用経験に裏付けられています。薬剤の選択は、最終的には患者の併存疾患、該当する禁忌、費用、副作用を考慮に入れなければいけません。


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