【警告】
・ヴォトリエント200mgは、緊急時に充分対応できる医療施設において、がん化学療法に充分な知識・経験を持つ医師のもとで、ヴォトリエント200mgの使用が適切と判断される症例についてのみ使用してください。また治療開始に先立ち、ヴォトリエント200mgの有効性および危険性を充分理解し、同意してから使用してください。
・重篤な肝機能障害があらわれることがあり、肝不全により死亡に至った例も報告されているので、ヴォトリエント200mg使用開始前および使用中は定期的に肝機能検査を行ない、状態を充分に観察してください。
・中等度以上の肝機能障害を有する人ではパゾパニブの最大耐用量が低いことから、これらの人は使用可否を慎重に判断するとともに、ヴォトリエント200mgを使用する場合は減量してください。
【禁忌】
・ヴォトリエント200mgの成分に対し過敏症の既往歴のある人。
・妊婦または妊娠している可能性のある人。
【慎重服用】
・重度の腎機能障害の人(使用経験がありません)。
・中等度以上の肝機能障害のある人: 臨床試験において、中等度の肝機能障害を有する人に対する最大耐用量が200mgであることが確認されています。
・高血圧の人: 高血圧や心機能障害が悪化するおそれがあります。
・心機能障害のリスク因子を有する人(特に、アントラサイクリン系薬剤などの心毒性を有する薬剤、および放射線治療による治療歴のある人): 症状が悪化するおそれがあります。
・QT間隔延長の既往のある人、抗不整脈薬やほかのQT間隔を延長させる可能性のある薬剤を使用中の人: QT間隔延長や心室性不整脈を起こすおそれがあります。
・脳転移を有する人: 臨床試験において、転移部位からの出血が報告されています。
・肺転移を有する人: 気胸が悪化または発現するおそれがあります。また臨床試験において、転移部位からの出血が報告されています。
・外科的処置後、創傷が治癒していない人: 創傷治癒遅延があらわれることがあります。
【重要な基本的注意】
・AST、ALTおよびビリルビンなどの上昇を伴う肝機能障害が発現し、肝不全により死亡に至った例も報告されているので、ヴォトリエント200mgの服用開始前および服用中は定期的に肝機能検査を実施し、異常が認められた場合は減量、休薬などの適切な処置を行なってください。
・高血圧があらわれることがあるので、ヴォトリエント200mgの服用開始前および服用期間中は定期的に血圧測定を行ない、必要に応じて降圧剤の使用を行なうなど適切な処置を行なってください。管理できない重症の高血圧が認められた場合は、休薬してください。
・心機能不全が発現することから、ヴォトリエント200mgの服用開始前および服用中は定期的に心エコーなどの新機能検査を実施し、異常が認められた場合は適切な処置を行なってください。
・QT間隔延長、心室性不整脈(Torsade de pointesを含む)があらわれることがあるので、ヴォトリエント200mgの服用開始前および服用中は定期的に心電図検査および電解質測定を行ない、必要に応じて電解質(カルシウム、マグネシウム、カリウム)を補正するとともに、QT間隔延長などの不整脈が認められた場合は適切な処置を行なってください。
・創傷治癒を遅らせる可能性があるので、外科的処置が予定されている場合には、外科的処置の前にヴォトリエント200mgの服用を中断してください。外科的処置後の服用再開は、状態に応じて判断してください。
・甲状腺機能障害があらわれることがあるので、ヴォトリエント200mgの使用開始前および使用期間中は定期的に甲状腺機能の検査を実施してください。ヴォトリエント200mgの服用中に甲状腺機能障害が認められた場合は適切な処置を行なってください。
・ネフローゼ症候群、たんぱく尿があらわれることがあるので、ヴォトリエント200mgの使用前および使用中は定期的にたんぱく尿を観察し、異常が認められた場合は適切な処置を行なってください。
・毛髪変色または皮膚の色素脱失があらわれることがあるので、ヴォトリエント200mgを服用する場合はその内容を必要に理解してください。また、剥脱性皮膚炎、手足症候群などの皮膚障害があらわれることがあるので、充分に観察を行ない、異常が認められた場合には適切な処置を行なってください。必要に応じて皮膚科などを受診してください。
【効能または効果に関連する使用上の注意】
・悪性軟部腫瘍
1.ヴォトリエント200mgの化学療法未治療例における有効性および安全性は確立していません。
2.臨床試験に組み入れられた病理組織型などについて、臨床成績の内容を熟知し、ヴォトリエント200mgの有効性および安全性を充分理解した上で使用の選択を行なってください。
・根治切除不能または転移性の腎細胞がん
ヴォトリエント200mgの術後補助化学療法における有効性および安全性は確立していません。
【用法および用量に関連する使用上の注意】
・ほかの抗悪性腫瘍剤(サイトカイン製剤を含む)との併用について、有効性および安全性は確立していません。
・食後にヴォトリエント200mgを服用した場合、CmaxおよびAUCが上昇するとの報告があります。食事の影響を避けるため、用法および用量を遵守して服用してください。
・副作用の発現により用量を減量して服用を継続する場合は、症状、重症度などに応じて200mgずつ減量してください。またヴォトリエント200mgを減量後に増量する場合は、200mgずつ増量してください。ただし800mgを超えないでください。
・臨床試験において、中等後の肝機能障害を有する人に対する最大耐用量は200mgであることが確認されており、中等度以上の肝機能障害を有する人のヴォトリエント200mgの200mgを超える用量の服用は、最大耐用量を超えるために推奨されていません。中等度以上の肝機能障害を有する人は減量するとともに、状態を慎重に観察し、有害事象の発現に充分注意してください。
・ヴォトリエント200mgの服用中に肝機能検査値異常が発現した場合は、以下の基準を考慮して、休薬、減量または中止してください。
肝機能検査値異常に対する休薬、減量および中止基準
肝機能検査値 |
処置 |
3.0×ULN≦ALT≦8.0×ULN |
使用継続(Grade1以下あるいは使用前値に回復するまで1週間ごとに肝機能検査を実施) |
ALT>8.0×ULN |
Grade1以下あるいは使用前値に回復するまで使用を中断し、使用を再開する場合は400mgの使用とします。
再開後、肝機能検査値異常(ALT>3.0×ULN)が再発した場合は使用を中止します。 |
ALT>3.0×ULN、かつ総ビリルビン>2.0×ULN(直接ビリルビン>35%) |
使用中止(Grade1以下あるいは使用前値に回復するまで経過を観察) |
GradeはNCI CTCAEによる。ULN:基準値上限
【その他の注意】
・パゾパニブとベメトレキセドおよびラパチニブを併用した固形がんの人を対象とした臨床試験において、毒性の増大、死亡率の増加が懸念されたため早期に中止されています。
【高齢者】
・一般に高齢者では生理機能が低下していることが多いので、状態を観察しながら注意して使用してください。
【妊婦、産婦、授乳婦】
・妊婦または妊娠している可能性のある人は服用しないでください。また妊娠可能な女性は、ヴォトリエント200mgの服用中は避妊を行なうようにしてください。
・授乳中の人はヴォトリエント200mgの服用中は授乳を避けてください。
【小児など】
小児などに対する安全性は確率していません。