【警告】
サイトブラスチン/シトブラスチン注射用10mgを含むがん化学療法は、緊急時に充分対応できる医療施設において、がん化学療法に充分な知識・経験を持つ医師の下で、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施してください。適応者の選択にあたっては、各併用薬剤の添付文書を参照して充分注意してください。また治療開始に先立ち、有効性および危険性を充分に理解し、同意してから使用してください。
【禁忌】
・以下の場合は使用しないでください。
サイトブラスチン/シトブラスチン注射用10mgの成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある人。
・以下の部位には使用しないでください。
隋腔内
【慎重使用】
・肝障害のある人: ビンブラスチンの代謝および排泄が遅延し副作用が増強する可能性があります。
・腎障害のある人
・骨髄抑制のある人: ビンブラスチンには骨髄抑制作用があります。
・感染症を合併している人: ビンブラスチンには骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがあります。
・神経・筋疾患の既往歴のある人: 神経障害が強くあらわれることがあります。
・虚血性心疾患のある人: 心筋虚血症状が強くあらわれることがあります。
・水痘の人: 致命的な全身障害があらわれることがあります。
・高齢者
【重要な基本的注意】
・骨髄抑制作用に起因する重篤な副作用(致命的な感染症および出血)、末梢神経障害などが起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査など)を行なうなど、状態を充分に観察してください。異常が認められた場合には減量、休薬、中止などの適切な処置を行なってください。また使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遅延性に推移することがあるので、使用は慎重に行なってください。
・高度な骨髄抑制による感染症・出血傾向の発現または増悪に充分注意してください。
・小児に使用する場合は、副作用の発現に特に注意し、慎重に使用してください。
・ビンブラスチンを含む多剤併用化学療法を受けた人で、性腺障害(精子形成不全(無精子症など)、無月経など)が認められたとの報告があるので、小児および生殖可能な年齢の人が使用する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮してください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
・悪性リンパ腫、絨毛性疾患に対して、ビンブラスチンの使用量の決定にあたっては、白血球数を指標として1週間間隔で以下のように段階的に増量し、至適使用量に到達させてください。
<増量の目安>
増量段階 |
使用量 |
第1回目 |
0.1mg/kg |
第2回目 |
0.15mg/kg |
第3回目 |
0.2mg/kg |
第4回目 |
0.25mg/kg |
第5回目 |
0.3mg/kg |
白血球数が3000/μLまで低下した場合は4000/μL以上に回復するまでは使用を延期してください。多くの人における1週間当たりの使用量は0.15~0.2mg/kgになりますが、白血球数の減少の程度は一定ではなく、0.1mg/kgの使用で3000/μLまで低下する例もあります。維持量としては、約3000/μLの白血球減少を示した使用量より1段階少ない量を1から2週間の間隔で使用してください。ただし、白血球数が4000/μL以上に回復するまでは、前回の使用より7日間経過していても次回使用は行なわないでください。1週間1回使用すべき料を分割して少量連日使用しても効果の増強は認められません。
一方、1週間1回の使用量の数倍量を分割して連日長期に使用した場合にはけいれん、重篤かつ不可逆的中枢神経障害を起こし、死に至った例が報告されているため、上記使用方法を厳格に守ってください。
・再発または難治性の胚細胞腫瘍に対し、確立された標準的なほかの抗悪性腫瘍剤との併用療法(VeIP両方(ビンブラスチン硫酸塩、イホスファミド、シスプラチン併用療法))においては、併用薬剤の添付文書も参照してください。
【適用上の注意】
・調剤方法
1)サイトブラスチン/シトブラスチン注射用10mgの注射液調製にあたり、注射用水または生理食塩液以外の溶解液の使用は望ましくありません。
2)注射液調製後はすみやかに使用してください。保存剤は含有していません。
3)眼には接触させないでください。眼に入った場合はただちに水で洗ってください。眼に入った場合、重篤な刺激や角膜潰瘍が起こることがあります。
・使用経路
1)静脈内注射にのみ使用してください。
2)隋腔内には使用しないでください。外国でビンカアルカロイド製剤を誤って隋腔内に使用し、死亡したとの報告があります。
サイトブラスチン/シトブラスチン注射用10mgを誤った隋腔内に使用した場合は、通常死にいたる可能性があるため、死にいたる麻痺の進行を阻止するようただちに救命措置を実施してください。
・使用時
1)1回使用量を計算の上、次のいずれか適当な方法により1分程度かけて緩徐に使用してください。
①静脈内に補液の管の途中から注入。(点滴容器内でほかの薬剤と混合させないようにしてください)。
②直接静脈内に注入。
2)静脈内使用に際し、薬液が血管外に漏れると注射部位に硬結・壊死・炎症を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように慎重に使用してください。
血管外漏出が疑われるときは、ただちに使用を中止し、適切な処置を行なってください。
また、残量はほかの静脈から使用してください。
【その他の注意】
・ビンブラスチンとほかの抗悪性腫瘍剤を併用した人に、二次性悪性腫瘍(白血病、骨髄異形成症候群(MDS)など)が発生したとの報告があります。
【高齢者】
・高齢者では、生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすいので、用量ならびに使用間隔に留意してください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊婦または妊娠している可能性のある人は使用しないでください。
・授乳婦が使用する場合には、授乳を中止してください。
【小児など】
・小児に使用する場合には、副作用の発現に特に注意し、慎重に使用してください。
・小児および生殖可能な年齢の人が使用する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮してください。