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2011-11-16

ソース(記事原文):ファミリープラクティス・ニュース

最大用量のロスバスタチンとアトルバスタチンはアテロームを同程度に退縮させる

ファミリープラクティス・ニュース(2011年11月16日)― ミッチェルL.ゾラー(MITCHEL L. ZOLER)著

オーランド-米国スタチン市場でトップに位置するロスバスタチンとアトルバスタチンについて、冠動脈疾患がある患者1,000例以上を対象に直接比較が行われた。試験はロスバスタチンの優位性をより明確に証明するよう意図されていたようだが、結果はむしろ、主要評価項目において、アトルバスタチンはやや強力なライバルのロスバスタチンと統計的に違いが認められなかったことが明らかにされた。

この試験結果は、アトルバスタチンがかなり安価な後発品として利用できるようになる予定日のちょうど2週間前に出され、試験の資金提供については、ロスバスタチン(クレストール)を販売しているアストラゼネカ社(AstraZeneca)が行った。今回の試験は、専門家だけでなく恐らくは支払機関(保険者)や患者に対しても、アトルバスタチンの後発品が大半の臨床現場で利用されることになると説得する皮肉な結果となったようだ。

この2剤を最大用量で2年間投与することにより検討が行われ、試験リーダーのスティーブンJ.ニコルズ博士(Dr. Stephen J. Nicholls)の言葉を借りれば、いずれも患者の「忍容性は驚くほど良好」であったことが明らかにされた。これにより、いずれのスタチンを用いた強化療法も安全であり、医師と患者はそれらを一層受け入れやすくなるという既存の証拠にこの試験も加わることになった。

この試験結果は、「これら2種類の高用量スタチンは安全であり、リスク低下においてもかなり有効であるという証拠の中核に加わるものです。」内科教授であり、フィラデルフィアにあるペンシルベニア大学(University of Pennsylvania)で心臓病予防プログラム長(director of the preventive cardiology program)を務めるダニエルJ.レイダー博士(Dr. Daniel J. Rader)はこうコメントした。

「いずれのスタチンも非常に高用量でした。医師らは最大用量の処方を好まず、患者もその服用を嫌います。これは、彼らが最大用量のスタチンを安全と考えていないため、また最大用量スタチンに追加の利益はないと考えているためです。[今回の試験は] 1,000例以上の患者を対象に実施しており、皆さんが[これら最大用量スタチンで]24カ月間患者を治療する場合、実際に忍容性は極めて良好であり、安全性プロフィールも極めて良好となることを明らかにした良い機会でした。また、皆さんがそうした治療により病変を退縮させて、脂質レベルを適切なものに変更できることを明らかにした機会でもありました。」クリーブランド臨床研究医療センター(Cleveland Clinic Center for Clinical Research)の臨床部長(clinical director)であるニコルズ博士はこのように述べた。

また、2種類のスタチンいずれかを最大用量で2年間投与した後、被験者の大半において「前例のない」冠動脈アテロームの退縮(本試験における有効性の主要評価項目)が達成されたと、ニコルズ博士は強調した。「これら高用量のスタチン治療が、脂質を取り除き、炎症を抑える能力は非常に奥深いものです。」同氏は、米国心臓協会(American Heart Association)の年次科学セッションでこう話した。「冠動脈アテロームは臨床マーカーではありません。」と認めながら、「しかし、[冠動脈アテロームは]最終的に心血管疾患を引き起こす病変であるという点で、妥当な代理マーカーです。」と述べた。

血液中のLDLコレステロール値を低下させて、HDLコレステロール値は上昇させる能力に関して、これまでロスバスタチンはアトルバスタチンに対しわずかだが一貫した優位性を持つことが知られていた。しかし、こうした差の臨床的意義は確立されていなかった。ニコルズ博士と同僚らは、SATURN試験(血管内超音波検査による冠動脈アテロームの研究:ロスバスタチン対アトルバスタチンの効果(Study of Coronary Atheroma by Intravascular Ultrasound: Effect of Rosuvastatin vs. Atorvastatin))を実施して、「最も効果的な最大用量スタチンの投与計画が、冠動脈アテローム性硬化の進展に及ぼす影響を比較検討」した。投与量は、ロスバスタチンが40mg/日、アトルバスタチンが80mg/日であった。

この試験結果は、ニコルズ博士が学術会議で報告したのと同時に論文サイト(N. Engl. J. Med. 2011 Nov. 15 [doi:10.1056/NEJMoa1110874])にも掲載された。

2008年1月から2009年6月にかけて、研究者らは208カ所の医療機関で冠動脈疾患がある患者1,578例を登録した。無作為化割付の後、2週間の導入期間において、患者は割り当てられたスタチンを試験用量の半量で投与された。この期間に約200例が除外されたが、ニコルズ博士の話では、試験継続とならなかった患者のほとんどの除外理由は、治験責任医師が血管内超音波検査(IVUS)によりベースラインにおけるその標的動脈の使用可能な画像を得られなかったことであり、投与による有害事象のためではなかった。試験に残った1,385例(アトルバスタチン群691例、ロスバスタチン群694例)については、試験用量の全量まで投与量を増やし、104週間投与を継続した。投与終了後、患者らは追跡調査として、指標となる冠動脈を画像化するIVUSを受けた。試験の主要評価項目は、IVUSで得られた、ベースライン時から追跡調査時までのアテローム体積率の変化であった。

試験結果から、この主要評価項目は、アトルバスタチン群で平均0.99%、ロスバスタチン群で平均1.22%減少していたことが明らかにされた。いずれの群もベースライン時と比較して統計的に有意なアテロームの退縮が認められたが、両群間では有意差はなかった。アテロームの退縮が認められた患者の割合は、アトルバスタチン群で63%、ロスバスタチン群で69%であり、多少の差はあったが有意差には至らなかった。

2年間の投与終了後、平均LDLコレステロール値はアトルバスタチン群で70.2 mg/dL、ロスバスタチン群で62.6 mg/dLであり、統計的に有意差が認められた。試験終了時までに、両群の平均HDLコレステロール値は、アトルバスタチン群で48.6 mg/dL、ロスバスタチン群で50.4 mg/dLとなった。このHDL値についても統計的に有意差が認められたが、「我々が考えていたほど、HDL値の差が大きくなかったことにやや驚きました。」とニコルズ博士は述べた。「最大用量では、HDL値に与える影響の差は消えるようです。」

主要評価項目の結果に基づき、ダーウィンR.ラバルト博士(Dr. Darwin R. Labarthe)は、「アトルバスタチンとロスバスタチンについて、今回の試験はその臨床上の利益に差があると推定できる根拠を示していません。」とコメントした。同氏はシカゴにあるノースウェスタン大学(Northwestern University)の予防医学教授であり、この学術会議における研究報告の指定討論参加者である。

今回の試験から、「両群の臨床的および生化学的有害事象の件数は少なかった」ことが明らかにされたと、ニコルズ博士は述べた。ALT値の上昇が見られたのは、アトルバスタチン群で2.0%、ロスバスタチン群で0.7%であり、統計的有意差が認められた。蛋白尿については、アトルバスタチン群で1.7%、ロスバスタチン群で3.8%と、これも統計的有意差が認められた。横紋筋融解症が見られた患者はいなかった。また主要な心血管有害事象の発生率で両群に有意差は認められず、アトルバスタチン群で7.1%、ロスバスタチン群で7.5%であった。

ニコルズ博士は、両群の患者のほとんどで冠動脈アテロームにかなりの退縮が見られたことを強調したが、何人かの専門家は、臨床評価項目とこの退縮の関連性についての証拠がないことから、この結果をすぐに重要なものとはしなかった。

「問題は、プラークの安定性に差が見られるかどうかです。」オーロラにあるコロラド大学デンバー校(University of Colorado at Denver)の内科教授で、アテローム性動脈硬化症の専門家でもあるロバートH.エッケル博士(Dr. Robert H. Eckel)はこうコメントした。「プラークは退縮するにつれて安定すると考えられますが、これは代理マーカーです。プラークの退縮が臨床上の利益に置き換わるかどうかについては分かりません。」国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute)が定める、米国のコレステロールに関する治療目標は現在見直しの最終段階にあり、「証拠に基づく結果によって方向性が決まる」ため、SATURN試験の結果は目標の見直しに「影響を与えないだろう」と、同氏はインタビューの中で語った。

またエッケル博士と他の専門家らが述べたところでは、今回の試験結果によって、保険者や患者は、値段が高く特許で守られているロスバスタチンよりもアトルバスタチンの後発品による治療を重視することになると、彼らは確信している。「薬価は治療の意思決定を後押しするでしょう。」エッケル博士はこう話した。「多くの場合、第三者支払機関(保険者)や患者がクレストールの代金を支払うことはないと思われます。」

SATURN試験は、ロスバスタチン(クレストール)を販売しているアストラゼネカ社の資金提供で行われた。ニコルズ博士の話では、彼はアストラゼネカ社、イーライリリー社(Eli Lilly)、アンセラ社(Anthera)、オムセラ社(Omthera)、メルク社(Merck)、武田薬品(Takeda)、レスバーロジックス社(Resverlogix)、サノフィ・アベンティス社(Sanofi-Aventis)、CSLベーリング社(CSL Behring)、エスペリオン社(Esperion)、ベーリンガーインゲルハイム社(Boehringer Ingelheim)のコンサルタントであり、これらの会社から謝礼金を受け取っている。また彼は、アストラゼネカ社、アンセラ社、イーライリリー社、ノバルティス社(Novartis)、レスバーロジックス社、ロシュ社(Roche)、リポサイエンス社(LipoScience)から研究支援を受けていると述べた。レイダー博士は、ジェネンテック社(Genentech)、メルク社、ロシュ社のコンサルタントまたはアドバイザーであり、メルク社の代理として発言を行い、また同社から研究助成金を受け取っている。ラバルト博士、エッケル博士、ロイド・ジョーンズ博士(Dr. Lloyd-Jones)は、公開すべき関連情報はないと述べた。

ニュースの視点

試験結果はスタチン強化療法の安全性と必要性を強調

私達が心血管疾患患者にできる最も重要なことのうち、1つは強力なスタチンを最大用量で投与することです。これは、続発性心血管疾患のリスクを減らす方法としては最も効果的です。

私達はすでに、高用量のスタチン、特にアトルバスタチンの安全性に関する実質的証拠を得ており、ロスバスタチンについてもますます多くの証拠を得ています。ここに、安全性に関するさらなるデータを積み重ねることで、医師はこれら薬剤を作用が強い用量で用いることに一層安心感を覚えるようになり、ひいてはLDLコレステロール値を最大限に低下させて実際に患者に利益をもたらすことが私の希望です。SATURN試験から、非常に強力なスタチンの最大量投与は、安全で[LDLコレステロール値の低下に]有効であると私達は理解しています。この試験では、検討したスタチンのいずれについても、他のスタチンを上回る追加利益の有無は分かりませんでした。

アトルバスタチンの後発品がまもなく利用可能になることで、状況は一変するでしょう。支払機関(保険者)が、患者に処方しやすいクラス1の薬剤群にアトルバスタチンを加えてくれれば、私達は安全で忍容性が良好な薬を使ってより多くの患者の[LDLコレステロール値を]低下させることができるでしょう。

SATURN試験の結果によって、実際に臨床現場の何かが変わるわけではありません。この試験では冠動脈疾患の中間的マーカー、つまりプラーク体積について検討を行っており、このマーカーは、実際には続発性心血管疾患のリスクとあまり相関性が見られません。むしろ私は、[例えば]線維性被膜や脂質コアの変化など、冠動脈プラークの質の変化に関するデータを見ることに関心があります。それら評価項目は、心血管疾患と相関する傾向にあるからです。

ドナルドM.ロイド・ジョーンズ医学博士(Donald M. Lloyd-Jones, M.D.)は心臓病専門医であり、シカゴのノースウェスタン大学予防医学科の学科長でもある。同氏は、公開すべき情報はないと述べた。このコメントは同氏がインタビューを受けた際のものである。


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