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2013-12-15
ソース(記事原文):YottaFire
オキシトシンは精神障害の治療に有用か?
YottaFire(2013年12月15日) ― 自閉症と統合失調症の治療薬としてこのホルモン(オキシトシン)が有用であるという科学的根拠が示されていることを、精神医学誌ハーバード・レビュー・オブ・サイカイアトリ(Harvard Review of Psychiatry)が報じた。
ペンシルベニア州フィラデルフィア ― このオキシトシンというホルモンは、自閉症や統合失調症などの精神障害の治療に役立つ可能性がある。この結果は、ハーバード・レビュー・オブ・サイカイアトリ誌9月号の総説で発表された。同誌は、ウォルターズ・クルワー・ヘルス(Wolters Kluwer Health)社に属するリッピンコット・ウィリアムズ・アンド・ウィルキンス(Lippincott Williams & Wilkins:LWW)出版社から発行されている。
マサチューセッツ大学医学部(University of Massachusetts Medical School)のデイビッド・コクラン(David Cochran)博士らによる研究の総説によれば、数ある生物学的作用の中で、オキシトシンは「人間社会的行動における重要な制御因子」を担っている。同氏らは、オキシトシンが特定の精神障害、特に社会生活機能障害などに有用な治療法となりうる証拠を考察しており、まだ予備段階ではあるが有望とみている。
精神障害における共通のホルモン因子か?
オキシトシンとは神経ペプチドホルモンのことであり、妊婦の分娩や乳汁分泌を引き起こす役割でよく知られているかもしれない。一方、オキシトシンは社会的行動の制御にも重要な役割を果たすという証拠が、動物および人間において数多く示されている。コクラン氏らが再検討するなかで、人間における「社会的な意志決定、社会的刺激に対する評価・応答、社会的相互作用の媒介、社会的記憶の形成」にオキシトシンが関与しているという証拠を見出した。
同氏らは、これらの作用に基づくと、オキシトシンは特定の精神障害に共通する因子なのではないかと考えた。同氏らは、これらの疾患の治療薬候補としてのオキシトシンを検討した先行研究などを照査して、特定の疾患にオキシトシンが関与することを示した証拠の解析を行った。
自閉症やその関連障害を呈する小児(または成人)における「オキシトシン処理過程の機能不全」を報告している研究がいくつかある。また、自閉症スペクトラム障害の発症には、オキシトシン受容体遺伝子(OXTR)などのオキシトシンに影響を与える遺伝子が関与しうるという証拠も存在している。
自閉症と統合失調症における治療効果の可能性
初期試験に基づくと、オキシトシンは自閉症スペクトラム障害患者において「社会的認知側面の改善と反復的行動の軽減をもたらすのに役立つ治療薬」となる日がいずれ訪れる可能性がある。ただし、研究はまだ初期段階に過ぎず、臨床上の効果を十分に評価していく必要がある。著者らが、オキシトシンによる自閉症重症度の有意な軽減を示した症例報告を考察したところ、長期オキシトシン治療を検討した唯一の対照試験において感情の特定およびQOL評価項目に改善が示されていた。
オキシトシンの統合失調症との関連性を検討する研究では、矛盾する結果が示されており、オキシトシン関連遺伝子との関連性は自閉症でみられたものほど強くない。しかし、オキシトシンが統合失調症患者の治療に役立ちうることを示唆する研究もいくつかあり、統合失調症の重症度と社会的認知への有望な効果を示す試験結果が報告されている。
オキシトシンはストレスへの反応に関与しているので、気分障害および不安障害に果たす潜在的役割について検討している研究もある。例えば、オキシトシンには重度抑うつに対する電気けいれん療法(ECT)への効果的反応に関与しうるという証拠が存在する。
しかし、オキシトシンが不安やうつ病に役立つ治療法であるとする証拠は今までのところ、ほどんどない。これは強迫性障害や境界性人格障害の治療におけるオキシトシンの初期試験においても同じことが言える。
コクラン氏と共著者らによれば、結局「今回の証拠が示すところは、一部の精神障害、特に社会生活機能障害を特徴とした病態にオキシトシンの役割がみられるということである」としている。「しかし、現在利用可能なデータが予備段階のものという性質上、この役割の正確な特徴は明確に理解できない」
したがって、有望な結果が一部みられるとはいえ、オキシトシンが自閉症、統合失調症、またはその他の精神障害に役立つ治療法であると結論付けるには時期尚早である。証拠は揺るぎないものだとしても、予測可能な方法でオキシトシンを脳に到達させられる確かな治療法は現時点で存在しない。経鼻投与が最も有望な選択肢とみられるが、効果を得るのに必須となる脳受容体への到達の仕組みを解明するには大規模試験が必要とされる。
一方、研究者らは、オキシトシンの役割や、この必須ホルモンに的を絞った治療法の効果を明らかにする試みを続けていく予定である。コクラン氏らは「適切な臨床試験はごく最近始まったばかりであり、外部からオキシトシンを投与した場合の臨床効果の程度・限界を深く理解することにつながるだろう」と締めくくっている。
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