【警告】
・エンブレル・ペン50mgの使用により、結核、敗血症を含む重篤な感染症および脱髄疾患の悪化などが報告されており、エンブレル・ペン50mgとの関係性は明らかではありませんが、悪性腫瘍の発現も報告されています。エンブレル・ペン50mgが疾病を完治させる薬剤でないことも含め、これらの情報を充分に理解し、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用してください。
またエンブレル・ペン50mgの使用において、重篤な副作用により致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が充分可能な医療施設および医師が使用し、エンブレル・ペン50mg使用後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡してください。
・感染症
重篤な感染症
敗血症、真菌感染症を含む日和見感染症などの致死的な感染症が報告されているため、充分な観察を行なうなどの感染症の発症に注意してください。
結核
播種性結核(粟粒結核)および肺外結核(胸膜、リンパ節など)を含む結核が発症し、死亡例も報告されています。結核の既感染者では症状の顕在化および悪化のおそれがあるため、エンブレル・ペン50mg使用に先立って結核に関する充分な問診および胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験またはツベルクリン反応検査を行ない、適宜胸部CT検査などを行なうことにより、結核感染の有無を確認してください。
また、結核の既感染者には、抗結核薬を使用した上で、エンブレル・ペン50mgを使用してください。
ツベルクリン反応などの検査が陰性の人において、使用後活動性結核が認められた例も報告されています。
・脱髄疾患の臨床症状・画像診断上の悪化が、エンブレル・ペン50mgを含むTNF抑制作用を有する薬剤でみられたとの報告があります。脱髄疾患(多発性硬化症など)およびその既往歴のある人は使用しないこととし、脱髄疾患を疑う人や家族歴を有する人が使用する場合には、適宜画像診断などの検査を実施するなど、充分な観察を行なってください。
・エンブレル・ペン50mgの治療を行なう前に、非ステロイド性抗炎症剤およびほかの抗リウマチ薬などの使用を充分勘案してください。また、エンブレル・ペン50mgについての充分な知識とリウマチ治療の経験を持つ医師が使用してください。
【禁忌】
・敗血症の人、またはそのリスクを有する人: 敗血症患者を対象とした臨床試験において、エンブレル・ペン50mg使用群では用量の増加に伴い死亡率が上昇しました。
・重篤な感染症の人: 症状を悪化させるおそれがあります。
・活動性結核の人: 症状を悪化させるおそれがあります。
・脱髄疾患(多発性硬化症など)およびその既往歴のある人: 症状の再燃および悪化のおそれがあります。
・うっ血性心不全の人: 症状を悪化させるおそれがあります。
【慎重使用】
・感染症の人、または感染症が疑われる人: エンブレル・ペン50mgは免疫反応を減弱する作用を有し、正常な免疫応答に影響を与える可能性があるので、適切な処置と充分な観察が必要です。
・結核の既感染者(特に結核の既往歴のある人、および胸部レントゲン上結核治癒所見のある人): 結核を活動化させるおそれがあるので、胸部レントゲン検査などを定期的に行なうなど、結核症状の発現に充分注意してください。
・易乾癬性の状態にある人: 感染症を誘発するおそれがあります。
・脱髄疾患が疑われる徴候を有する人、および家族歴のある人; 脱髄疾患発現のおそれがあるため、適宜画像診断などの検査を実施し、充分注意してください。
・重篤な血液疾患(汎血球減少、再生不良性貧血など)の人、またはその既往歴のある人; 症状が悪化するおそれがあります。
・高齢者
・間質性肺炎の既往歴のある人: 間質性肺炎が増悪または再発することがあります。
【重要な基本的注意】
・エンブレル・ペン50mgは、細胞性免疫反応を調整するTNFの生理活性を抑制するので、感染症に対する宿主側防御に影響を及ぼすことがあります。そのためエンブレル・ペン50mgに際しては、充分な観察を行ない感染症の発現や増悪に注意してください。ほかの生物製剤との切り替えの際も注意してください。また、発熱、倦怠感などがあらわれた場合には、速やかに主治医に相談してください。
・エンブレル・ペン50mgに先立って結核に関する充分な問診および胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験またはツベルクリン反応検査を行ない、適宜胸部CT検査などをおこなうことにより、結核感染の有無を確認してください。結核の既往歴を有する場合および結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談してください。以下のいずれかの人は、原則としてエンブレル・ペン50mgの開始前に適切な結核薬を使用してください。
胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する人
エンブレル・ペン50mg使用に先立って結核に関する充分な問診および胸部レントゲン検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験またはツベルクリン反応検査を行ない、適宜胸部CT検査などを行なうことにより、結核感染の有無を確認してください。結核の既往歴を有する場合および結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談してください。以下のいずれかの人は、原則としてエンブレル・ペン50mgの開始前に適切な抗結核薬を使用してください。
胸部画像検査で陳旧姓結核に合致するか確定される陰影を有する人
結核の治療液(肺外結核を含む)を有する人
インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査などの検査により、既感染が強く疑われる人
結核患者との濃厚接触歴を有する人
また、エンブレル・ペン50mg使用中も、胸部レントゲン検査などの適切な検査を定期的に行なうなど結核の発現には充分に注意し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱など)には速やかに主治医に連絡してください。なお、結核の活動性が確認された場合は、エンブレル・ペン50mgを使用しないでください。
・エンブレル・ペン50mgを含む抗TNF製剤を使用したB型肝炎ウイルスキャリアの人、または既往感染者(HBs抗原陰性、かつHBc抗体またはHBs抗体陽性)において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されています。エンブレル・ペン50mgの使用に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認してください。B型肝炎ウイルスキャリアの人、または既往感染者がエンブレル・ペン50mgを使用する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーターのモニタリングを行なうなど、B型肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意してください。なお、これらの報告の多くは、ほかの免疫抑制作用を持つ薬剤を併用使用した人に起きています。
・エンブレル・ペン50mgの使用中は、生ワクチン接種により感染するおそれがあるので、生ワクチン接種は行なわないでください。
・エンブレル・ペン50mgを含む抗TNF療法において、新たな自己抗体の発現が報告されています。
・エンブレル・ペン50mgを含む抗TNF療法において、中枢神経系(多発性硬化症、視神経炎、横断性脊髄炎など)および末梢神経系(ギラン・バレー症候群など)の脱髄疾患の発現や悪化が報告されています。そのため脱髄疾患およびその既往歴御のある人はエンブレル・ペン50mgを使用しないでください。脱髄疾患が疑われる人は、神経学的評価や画像診断などの検査を行ない、慎重に危険性と有益性を評価した上でエンブレル・ペン50mg使用の妥当性を検討し、使用後は充分に観察を行なってください。
・エンブレル・ペン50mgに関連したアレルギー反応が報告されています。重篤なアレルギーまたはアナフィラキシー反応が発現した場合は、速やかに使用を中止し適切な処置を行なってください。
また、重篤な症状以外でも、エンブレル・ペン50mg使用時には、注射部位に紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒などの注射部位反応あるいは注射部位出血などが多数認められているので、エンブレル・ペン50mgを慎重に使用するとともに、発現に注意し、必要に応じて適切な処置を行なってください。
・エンブレル・ペン50mgペン先端部のキャップは、ラテックスを含有しているため、ラテックス敏感症の既往歴あるいは可能性のある場合、キャップへの接触あるいはエンブレル・ペン50mgの使用により、過敏反応が起こることがあるので注意してください。
・臨床試験およびその後5年間の長期試験で、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の発現が報告されています。一般に、慢性炎症性疾患のある人が免疫抑制剤を長期間使用した場合、感染症や悪性リンパ腫の発現の危険性が高まることが報告されています。また、エンブレル・ペン50mgを含む抗TNF製剤を使用した小児や若年成人においても、悪性リンパ腫などの悪性腫瘍が報告されています。エンブレル・ペン50mgに起因するか明らかではありませんが、悪性腫瘍などの発現には注意してください。
・エンブレル・ペン50mg使用後にループス様症候群が発現し、さらに抗dsDNA抗体陽性となった場合は、使用を中止してください。
・1)自己使用の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、充分な教育訓練を実施したのち、エンブレル・ペン50mg使用による危険性と対処法について使用者が理解し、自ら確実に使用できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施してください。また、適用後、感染症などエンブレル・ペン50mgによる副作用が疑われる場合や、自己使用の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己使用を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行なってください。
使用済のペンを再使用しないように注意し、安全な廃棄方法について指導を徹底してください。すべての器具の安全な廃棄方法にすいて指導を受けてください。すべての器具の安全な廃棄方法に関する指導を受けると同時に、ペンを廃棄する容器の提供を受けてください。
エンブレル・ペン50mg使用により感染が発現またはあ悪化することが報告されています。重症な場合にはエンブレル・ペン50mg使用の中止を考慮してください。
・エンブレル・ペン50mgとアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行なわないでください。海外で実施したプラセボを対照とした臨床試験において、エンブレル・ペン50mgを含む抗TNF製剤とアバタセプト(遺伝子組換え)の併用療法を受けた人では併用による効果の増強は示されておらず、感染症および重篤な感染症の発現率がエンブレル・ペン50mgを含む抗TNF製剤のみによる治療を受けた人での発現率と比べて高かったとの報告があります。また、エンブレル・ペン50mgとほかの生物製剤の併用について安全性および有効性は確立していないので併用を避けてください。
【効能・効果に関連する使用上の注意】
・過去の治療において、非ステロイド性抗炎症剤およびほかの抗リウマチ薬などによる適切な治療を行なっても、疾患に起因する明らかな症状が残る場合に使用してください。
・エンブレル・ペン50mgとアバタセプト(遺伝子組換え)の併用は行なわないでください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
・エンブレル・ペン50mgは、1回の使用量が50mgの人にのみ使用してください。なお、1回にエンブレル・ペン50mgの全量を使用してください。
・エンブレル・ペン50mgの使用開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで使用してください。エンブレル・ペン50mgによる治療開始後、医師により使用が妥当と判断された人は、自己使用も可能です。
・注射部位反応(紅斑、発赤、疼痛、腫脹、そう痒など)が報告されているので、使用ごとに注射部位を変えてください。
【適用上の注意】
■使用経路
・皮下にのみ使用してください。
■使用前
1)使用約15-30分前に室温に戻しておいてください。室温に戻るまでは、エンブレル・ペン50mgペン先端部のキャップを外さないでください。
2)使用前に、内容物を目視により確認してください。エンブレル・ペン50mgは、白色のたんぱく微粒子を認めることがありますが、エンブレル・ペン50mgの使用にあたっては問題ありません。なお、着色異物または変色が認められる場合は、使用しないでください。
■使用時
1)注射部位を大腿部、腹部、上腕部などに求め、順序よく移動し、短期間に同一部位への反復注射は行なわないでください。新注射部位は、前回の注射部位から少なくとも3cm離してください。
2)皮膚が敏感なところ、挫傷のあるところ、発赤または硬結しているところへの注射は避けてください。
■その他
エンブレル・ペン50mgは、1回使用の製剤であり、再使用しないでください。
【その他の注意】
・エンブレル・ペン50mgの臨床試験は、国内では52週間まで、海外では5年間までの期間で実施されており、これらの期間を超えたエンブレル・ペン50mgの長期使用時の安全性は確立していません。
・比較臨床試験において、抗核抗体陽性化(ANA)、抗dsDNA抗体陽性化および抗カリジオリピン抗体陽性化が認められたエンブレル・ペン50mg使用者の割合は、プラセボ群と比較して増加しました。
また、リウマトイド因子陽性の関節リウマチの人を含めて、臨床症状発現および生検により、亜急性皮膚ループスまたは円板状ループスにみられる発疹およびループス様症候群を伴う新たな自己抗体を発現した人が報告されています。
・海外において、エンブレル・ペン50mg使用中の感染性関節炎の人では、肺炎球菌多糖体ワクチンに対して有効なB細胞免疫応答を得ることができたとの報告があります。しかし、エンブレル・ペン50mgを使用していない人と比較すると、全体的にみて抗体価がやや低く、抗体価が2倍に達した人は少なかったとの報告があり、その臨床的意義は不明です。
・エンブレル・ペン50mgとほかの抗リウマチ薬の併用について、有効性および安全性は確立していません。
・海外で敗血症性ショックの人141例を対象に、プラセボまたはエンブレル・ペン50mgを0.15、0.45、1.5mg/kgを単回静脈内使用するプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施されました。それによると、エンブレル・ペン50mgの使用では疾患の進行を妨げることができず、エンブレル・ペン50mg使用群で用量の増加に伴い死亡率の上昇がみられました。腫瘍評価項目である28日間死亡率は、プラセボ群で30%、エンブレル・ペン50mgの0.15mg/kg群で30%、0.45mg/kg群で48%、1.5mg/jkg群で53%でした。
・海外でうっ血性心不全患者を対象とした2つのプラセボ対照無作為二重盲検試験が実施されましたが、いずれも有効性が認められないことから早期に中止されました。最初の試験では、エンブレル・ペン50mgの25mg週2回群およびエンブレル・ペン50mgの25mg週3回群のいずれも、プラセボ群と比較して心不全の悪化および死亡率が高い傾向にありました。使用後24週の心不全の悪化は、エンブレル・ペン50mgの25mg週2回群が29%、25mg週3回群が27%、プラセボ群が20%でした。2番目の試験では、エンブレル・ペン50mgの25mg週1回群、エンブレル・ペン50mgの25mg週2回群、またはプラセボ使用群のいずれかに割りつけられましたが、心不全の悪化および死亡において、エンブレル・ペン50mg使用群とプラセボ群の間で差は見られませんでした。
なお、ほかの抗TNF療法においては、心不全症状の悪化および死亡が、プラセボ群よりも効率に認められたとの報告があります。
・手術前後のエンブレル・ペン50mgの使用について、安全性は確立されていません。
【高齢者】
・一般に高齢者では生理機能(免疫機能など)が低下しているので、感染症などの副作用の発現に留意し、充分な観察を行なってください。
【妊婦、産婦、授乳婦など】
・妊婦、または妊娠している可能性のある人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用してください。
・妊娠中にエンブレル・ペン50mgを使用した人からの出生児においては、感染症発現のリスクが否定できないため、生ワクチン接種時などには感染に注意してください。
・授乳中の人は使用を避け、やむを得ず使用する場合は授乳を中止してください。
【小児など】
・小児などに対する安全性は確立していません。