コレステロール・中性脂肪(脂質異常症) - このカテゴリーに関連するニュース・情報

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2011-10-13

ソース(記事原文):サンタイネズバレー・ジャーナル

スタチンあれこれ

サンタイネズバレー・ジャーナル(2011年10月13, 20日)

Q. スタチンは特効薬で、飲料水に混ぜてみんなに供給すべきと言われているとの意見も聞きました。この薬にはそれほどの価値がありますか?

コレステロールは、血液中の脂質様物質です。細胞膜を作ったり、神経を保護したり、ホルモンを作るためにはコレステロールが必要になります。

体は、必要量のコレステロールをすべて作ることができます。そしてそのほとんどは肝臓で作られています。また肉、卵、乳製品などの食べ物からもコレステロールを摂取します。コレステロールは血管閉塞の原因となることから、量が多すぎるのは危険です。コレステロールはリポタンパク質というパッケージとして、血流に乗って運ばれます。

低密度リポタンパク質(LDL)

LDLは体中にコレステロールを届けます。血流からコレステロールを取り除くのが高密度リポタンパク質(HDL)です。しばしば、LDLは「悪玉」コレステロール、HDLは「善玉」コレステロールと呼ばれます。

血液中のLDLが多すぎると、それらは血流内の他の物質と結合してプラークを作ります。プラークとは、脳や心臓に栄養を送る血管の内壁にできるワックス状の付着物のことです。このプラーク形成が起こると、一般には「動脈硬化」と言われている「アテローム性動脈硬化症」と呼ばれる状態になります。

プラークで狭くなった血管に血栓ができると、血流が妨げられて心臓発作や脳卒中が起こります。推奨コレステロール値は以下のとおりで、総コレステロール値については200mg/dL未満です(「mg/dL」は、1デシリットル当たりのミリグラムを表します)。「境界域」は200~239mg/dLと定義されています。測定値が240mg/dL以上であれば、心臓病のリスクがあります。

LDLコレステロール値については130mg/dL未満です。「境界域」は130~159mg/dLになります。

測定値が160mg/dL以上であれば、心臓病のリスクがあります。HDLコレステロール値については、60mg/dL以上なら心臓病のリスクは減ります。測定値が40mg/dL未満の場合は心臓病のリスクが高くなります。

LDL値が高いために総コレステロール値が高くなっている場合は、心臓病や脳卒中のリスクがさらに高くなります。HDL値のみ高いために総コレステロール値が高いのであれば、リスクはそれほど高くはないでしょう。医師の中には、総コレステロール値対HDL値の比率を用いる人もいます。これはHDL値を総コレステロール値で割って算出します。この比率を5対1以下に維持することが目標です。

スタチンはHMG-CoA還元酵素阻害薬としても知られ、コレステロール生成に関与する肝臓の物質を阻害することで、コレステロール値を下げる薬です。また、この薬は動脈壁に蓄積したコレステロールを体が再吸収するのを助けます。ほとんどの人にとってスタチンは比較的安全な薬です。

スタチンの中でも最もよく知られているものとして、シンバスタチン(ゾコール)、アトルバスタチン(リピトール)、ロバスタチン(メバコール)、プラバスタチン(プラバコール)、ロスバスタチン(クレストール)、フルバスタチン(レスコール)があります。

コレステロール値は、医師がスタチンの処方前に考慮する唯一の数値です。コレステロール高値以外に心臓発作や脳卒中のリスクがなければ、薬物治療を行う必要はないかもしれません。

そのほかの危険因子として、ライフスタイル、年齢、心臓発作や脳卒中の家族歴、喫煙、体重、血圧、糖尿病、首/四肢の動脈の狭窄、全般的な健康状態があります。

喫煙をやめる、運動をするなどライフスタイルを変えることは、薬物治療のみの場合よりも心臓病や脳卒中のリスク低下に大きく影響します。

スタチンには、肝障害、筋肉や関節の痛み、便秘、悪心、下痢などの副作用の恐れがあります。スタチンを服用している人は、定期的に肝機能検査を受けます。

コレステロール値の低下だけでなく、スタチン服用の利点は他にもあります。

心臓発作や脳卒中の心血管疾患のうちすでに1つを経験している患者において、スタチンは再発を防ぐことが分かっています。

スタチンには抗炎症作用があることを示唆する証拠が増えています。この特性が血管内皮の安定を促して、全身を救う可能性があります。

血管内皮が安定することで、心臓発作の原因となる血栓が内皮のプラークから形成されるのを防ぎ、心臓発作のリスクが低下します。

スタチンは血管を弛緩させて、血圧を下げます。この薬は血栓リスクを下げることから、冠動脈バイパス術、血管形成術、数回の脳卒中の前後に医師はスタチンを処方しています。

そのほか可能性のあるスタチンの効果として、研究中のものは以下のとおりです。

・関節炎、骨折、骨粗鬆症の予防。

・癌の予防。スタチンは結腸直腸癌や皮膚癌のリスクを低下させる可能性があります。スタチンは腫瘍の発生、その増殖、体の他の場所への転移の抑制に役立つことを研究者らは明らかにしています。

・認知症やアルツハイマー病のリスクの低下。

・腎臓の保護。コレステロールや血圧に対する作用、そしておそらくは炎症を抑える能力を介して、スタチンは腎臓の保護に役立つ可能性があります。

・臓器移植後、体の免疫系反応の抑制の補助。

・糖尿病のリスクの低下。

・スタチンの抗酸化特性。LDLコレステロールの酸化を防ぐことで、プラークの形成を減らすことができます。

スタチンの研究に関するニュース

・脳卒中を経験して間もない高齢者がスタチン治療によって得られる効果は、若い脳卒中患者の場合とほぼ同じです。

・イスラエルの試験では、試験期間中の服薬率が10%以下であったスタチン服用群よりも、同期間の服薬率が90%以上であった群のほうが死亡率は45%低かったことが明らかにされました。

・LDLコレステロール値は正常だが、C反応性タンパク質(CRP)と呼ばれる炎症マーカー値が高い被験者において、ロスバスタチンによる治療は心臓発作や脳卒中を44%減少させたことが明らかにされました。

・比較的健康な人を対象とした試験で、静脈血栓塞栓症として知られる血栓形成の可能性は、スタチン服用群のほうがプラセボ群よりも43%低かったことが明らかにされました。この種の血栓は脚に生じることが多く、肺に移動した場合は致命的となります。

・時に、スタチンは複視、眼瞼下垂、目の動きを制御する筋肉の脱力を引き起こすことがあります。

・スタチン服用者で、記憶喪失のまれな症例が報告されています。

・スタチン服用者において筋萎縮性側索硬化症(ALS)が報告されています。この病気はルー・ゲーリック病としても知られる深刻な神経変性疾患で、スタチンがその原因または引き金であるという確かな証拠はありません。


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