アダラート オロス 30mgはカルシウム拮抗作用を持つ二フェジピンを有効成分とした、高血圧治療、及び慢性安定狭心症などの狭心症の発症を妨げる効用があります。
アダラート オロス 30mgは徐放型であるため、有効成分が体内でゆっくりと拡散します。
また、錠剤の外側は体内では溶けないように形成されているため、排泄物中に錠剤の形状が認められる場合もあります。
血圧とは血液が体内を循環する際に、血管にかかる圧力のことを指します。
血圧は最高血圧値/最低血圧値によって示されます。最高血圧とは心臓が収縮し、血液が押し出されている時に血管にかかっている圧力であり、血管に最も圧力がかかっている状態となります。心臓が収縮している時点での血圧であるため、通常は『収縮期血圧』と呼ばれています。
最低血圧とは血液が心臓から押し出されていない時に血管にかかっている圧力で、血管に最も圧力がかかっていない状態です。心臓が拡張している時の血圧となるため、通常『拡張期血圧』といった呼ばれ方をしています。
正常とされる血圧の上限は、自己測定した場合で135/85mmHg、病医院で測定した場合は140/90mmHgとされており、これ以上になると高血圧であるとされています。
日本において血圧が140/90mmHg以上の高血圧症であるとされている人は約3,000万人と言われています。つまり4人に1人が高血圧症であるということになり、50歳以上の人においては、2人に1人が高血圧症であると言われています。
高血圧は二次性高血圧(症候性高血圧)と本態性高血圧に区分されます。二次性高血圧とは、高血圧症の10-20%を占め、腎臓病やホルモン異常など、高血圧を引き起こしている原因がはっきりとわかっているものです。
これに対して本態性高血圧とははっきりとした原因を特定できない高血圧症であり、高血圧症患者のほとんどがこの本態性高血圧に属します。
本態性高血圧の原因ははっきりとは解明されていませんが、食事における塩分の過剰摂取、アルコール、ストレス、運動不足や肥満、疲労などがその要因として挙げられており、いわゆる生活習慣病の一つとしてとらえられています。
高血圧症になったとしても、殆どの場合、はっきりとした自覚症状がありません。
人によっては、頭痛、目眩、肩こり、むくみ、動悸、はきけ、耳鳴りなどが発現する場合がありますが、これらの症状は必ずしも発現するものでもなく、また、高血圧症特有の症状というわけではないので、放置されてしまいがちです。
長期間にわたる高血圧症は心臓や血管に負担をかけ、心肥大や動脈硬化を引き起こします。
それらによってさらに、脳卒中、心臓病、腎臓病などの合併症が発症させられます。
このように、高血圧症は無症候のまま病状を進行させ、命に関わるような合併症を引き起こすことから、『サイレントキラー』とも言われています。
慢性安定狭心症とは狭心症の症状の一つで、発作の強さや頻度が一定であり、治療や生活習慣によって症状をコントロールできる狭心症を指します。
狭心症は心臓の筋肉の動脈である環状動脈が狭まり、心筋が一過性の虚血状体に陥る為に引き起こされ、胸痛や胸部圧迫感など症状を呈します。
原因となる冠状動脈の狭窄には高血圧症による動脈硬化が原因としてあげられ、高血圧症による合併症の一つとして考えられています。
アダラート オロス 30mgの有効成分である二フェピジンはカルシウムチャンネル遮断を持つカルシウム拮抗薬で、心臓と血管において直接薬理作用を発揮します。
カルシウムは筋肉の収縮に必要不可欠な物質です。
筋肉収縮に関与するカルシウムは、筋小胞体と呼ばれる筋肉細胞の滑面に存在する小胞体に貯蔵されています。
筋収縮時にはこの筋小胞体に貯蔵されていたカルシウムが筋繊維の細胞内にカルシウムチャンネルという細胞膜状のゲートを経由して取り込まれます。
取り込まれたカルシウムは細胞内のカルシウム結合タンパクと結合して筋肉の収縮作用をもたらします。
二フェジピンは、カルシウムチャンネルに結合し、カルシウムチャンネルを開けなくすることによってカルシウムイオンの移動を遮断します。
この作用が血管の平滑筋で生じると、血管平滑筋の弛緩をもたらし、血管が拡張させられます。
血管の拡張によって、血液を体内に送り出す際の心臓の負担を軽減され、血液が循環する時の血管にかかる圧力も低下するため、結果としては、血圧が降下することになります。
さらに、この血管拡張作用が冠状動脈で作用した場合、心臓への充分な血液と酸素の供給が改善されることから、心筋の一過性の虚血症状の発現が阻害され、狭心症(特に狭心症発作)の予防薬としての作用もあるとされています。