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2011-01-26
ソース(記事原文):サイエンスデイリー
抗うつ薬の使用に伴い閉経期のホットフラッシュが軽減する
サイエンスデイリー(2011年1月26日)―JAMA 1月19日号に掲載された研究によれば、閉経期への移行中または閉経後の女性が抗うつ薬エスシタロプラムを使用したところ、プラセボを服用した女性と比較して閉経期のホットフラッシュの頻度および重症度が低下したという。
この研究論文の背景情報によると、「ホルモン剤は閉経期のホットフラッシュに対する主要な治療薬であるものの、エストロゲンとプロゲスチンに関する女性健康イニシアティブ無作為化比較対照試験(Women's Health Initiative Estrogen plus Progestin randomized controlled trial)においてリスクと有益性の比率の変化が確認された後、それらの使用は実質的に減少している。しかしながら、米国食品医薬品局(U.S. Food and Drug Administration)が閉経期のホットフラッシュを適応として認めている治療薬は他になく、代替の医薬品および非医薬品の効果については結論が出ていない。」ホットフラッシュの治療については選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)およびセロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(SNRI)の検討が行われ、さまざまな研究結果が出ている。2件のパイロット試験においてSSRIエスシタロプラムは最小限の副作用でホットフラッシュを軽減させたものの、それら試験の被験者数は少数であったこと、また非盲検投与であったことから結論には制限があった。
フィラデルフィア(Philadelphia)にあるペンシルベニア大学医学大学院(University of Pennsylvania School of Medicine)のエレンW.フリーマン博士(Ellen W. Freeman, Ph.D.)と同僚らは、健康な女性を対象として、ホットフラッシュの頻度および重症度を低下させるエスシタロプラムの有効性をプラセボとの比較により評価するとともに、人種、閉経状況、抑うつ気分、不安は観察された効果の重要な調整因子であるかどうかについて検討した。この8週間多施設共同無作為化試験には、2009年7月から2010年6月までの間に205例の女性(アフリカ系アメリカ人95例、白人102例、その他8例)が登録され、女性達は10mg/日から20mg/日のエスシタロプラムまたは同等のプラセボを8週間服用した。主要評価項目はホットフラッシュの頻度および重症度であり、第4週と第8週に日誌(日記)法(prospective daily diaries)によって評価した。
試験開始時のホットフラッシュの頻度は、1日当たり平均9.8回であった。人種、試験実施施設、ベースライン時のホットフラッシュの頻度で調整してプラセボと比較したところ、エスシタロプラムの投与に伴いホットフラッシュの頻度は有意に低下した。エスシタロプラム群では、第8週のホットフラッシュの頻度は1日当たり平均5.26回に減少した(試験開始時と比較して47%の減少、すなわち1日当たり平均4.6回減少した。)。プラセボ群のホットフラッシュの頻度は、1日当たり6.43回に減少した(33%の減少、すなわち1日当たり平均3.2回減少した。)。
第8週の臨床的改善度(ホットフラッシュの頻度がベースラインから50%以上減少)については、プラセボ群よりもエスシタロプラム群のほうが有意に高かった(55%対36%)。また人種、試験実施施設、ベースライン時の重症度で調整してプラセボと比較したところ、エスシタロプラムの使用はホットフラッシュの重症度を有意に低下させた。
人種は治療効果の有意な調整因子ではなかった。有害事象による試験中止は全体で4%であった(エスシタロプラム群で7例、プラセボ群で2例)。
「投与後3週間の追跡調査から、エスシタロプラム群では投与終了後にホットフラッシュが増加したものの、プラセボ群では投与終了後にそのような変化は認められなかったことが明らかとなった。これはエスシタロプラムの効果についてさらなる証拠を提供している。」と著者らは述べている。
また、ホットフラッシュの頻度および重症度の低下は中程度のように思われるが、試験参加者が治療への満足や治療の継続希望を報告したことから示されるように、参加者らはそうした改善を有意義なものとして捉えていた、とも述べている。
「我々の研究結果から、閉経期のホットフラッシュの管理において、健康な女性を対象とした10mg/日から20mg/日のエスシタロプラムは非ホルモン性で適応外の選択肢を提供し、これは効果的で忍容性が良好であると考えられる。閉経に伴うホットフラッシュの治療におけるSSRIとSNRIの相対的な効果をホルモン療法と直接的に比較するため、さらなる研究が必要である。」
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