以下の場合、エルロシップ100を絶対に服用しないでください。
・エルロシップ100の成分に対し過敏症の既往歴のある人
【警告】
・エルロシップ100は、緊急時に充分に対応できる医療施設において、がん化学療法に充分な知識・経験を持つ医師のもとで、添付文章を参照して、適切とされる症例についてのみ使用してください。適応の選択にあたっては、エルロシップ100および併用薬剤の添付文書を参照して充分に注意してください。また治療開始に先立ち、エルロシップ100の有効性および危険性(特に間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った症例があることなどに関する情報)、非小細胞肺がん、膵がんの治療法などについて充分に理解してから使用してください。
・エルロシップ100の服用により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、せき、発熱など)の確認および胸部X線検査の実施など、観察を充分に行なってください。異常が認められた場合には使用を中止し、適切な処置を行なってください。また国内臨床試験において、間質性肺疾患により死亡に至った症例があることから、治療初期は入院またはそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患などの重篤な副作用発現に関する観察を充分に行なってください。
・膵がんを対象としたエルロチニブとゲムシタビンとの併用療法の国内臨床試験における間質性肺疾患の発現率(8.5%)は、海外第III相試験(3.5%)や非小細胞肺がんを対象としたエルロチニブ単独療法の国内臨床試験(5.3%)および二次治療以降の特定使用成績調査(4.3%)と比べて高いことなどから、膵がんに使用する場合には国内臨床試験における対象患者を参照して、エルロシップ100の有効性および危険性を充分に理解した上で、使用の可否を慎重に判断するとともに、以下の点も注意してください。
1)エルロシップ100の使用開始前に、胸部CT検査および問診を実施し、間質性肺疾患の合併または既往歴がないことを確認した上で、使用の可否を慎重に判断してください。
2)エルロシップ100の使用開始後は、胸部CT検査および胸部X線検査をそれぞれ定期的に実施し、肺の異常所見の有無を充分に観察してください。
【慎重服用】
・非小細胞肺がんの人で、間質性肺疾患(間質性肺炎、肺臓炎、放射線性肺臓炎、器質化肺炎、肺線維症、急性呼吸窮迫症候群、肺浸潤、胞隔炎など)の人またはその既往歴のある人。肺感染症のある人またはその既往歴のある人: 間質性肺疾患が増悪し、死亡に至る可能性があります。
・肝機能障害のある人: 肝機能障害が増悪することがあります。
・消化管潰瘍、腸管憩室のある人またはその既往歴のある人: 消化管穿孔があらわれることがあります。
【重要な基本的注意】
・エルロシップ100の使用にあたっては、その副作用について充分に理解してください。
・エルロシップ100の使用により、間質性肺疾患、発疹、下痢、角膜穿孔、角膜潰瘍などの副作用があらわれることがあります。これらの発現または症状の増悪が疑われた場合には、速やかに医療機関を受診するようにしてください。
・エルロシップ100の使用により間質性疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、せき、発熱などの有無)を充分に観察し、胸部X線検査を行なってください。また必要に応じて胸部CT検査、動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLco)などの検査を行なってください。
・エルロシップ100の使用によりALT(GPT)、AST(GOT)、ビリルビンの上昇などを伴う重篤な肝機能障害があらわれることがあるので、状態に応じて使用中は定期的に肝機能検査を実施することが望ましいとされています。
・膵がんでは、ゲムシタビンとの併用により、骨髄抑制などの副作用が高頻度に発現するため、使用中は定期的に臨床検査を行ない、異常が認められた場合には適切な処置を行なってください。
【効能・効果に関連する使用上の注意】
・非小細胞肺がんおよび膵がんに対する術後補助化学療法としてエルロシップ100を使用した場合の有効性および安全性は確立していません。
・EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な再発・進行性で、がん化学療法未治療の非小細胞肺がんの場合には、臨床試験に組み入れられた患者の遺伝子変の種類などについてあらかじめ熟知し、エルロシップ100の有効性および安全性を充分に理解した上で使用してください。
・治癒切除不能な膵がんに対してエルロシップ100を使用する場合には、国内臨床試験に組み入れられた患者背景やエルロシップ100の有効性および安全性を充分に理解した上で慎重に使用してください。
【用法・用量に関連する使用上の注意】
・副作用の発現により用量を変更する場合には、50mgずつ減量してください。
・高脂肪、高カロリーの食後にエルロシップ100を服用した場合、AUCが増加するとの報告があります。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けてください。
・非小細胞肺がんでは、ほかの抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性および安全性は確立していません。
・治癒切除不能な膵がんでは、エルロシップ100をゲムシタビン以外の抗悪性腫瘍剤との併用で使用した場合やエルロシップ100を科学放射線療法として使用した場合の有効性および安全性は確立していません。
・治癒切除不能な膵がんに対してエルロシップ100を使用する場合には、臨床成績の内容を充分に理解した上で行なってください。
・治癒切除不能な膵がんに対してエルロシップ100を使用する場合には、膵がんを対象とした国内第II相臨床試験の基準を目安として、休薬、減量または中止を考慮してください。
膵がんを対象とした国内第II相臨床試験における
休薬減量基準
非血液毒性
副作用 |
Grade |
休薬基準 |
使用再開時の用量 |
間質性肺疾患 |
Gradeは問わない |
疑われる症状が発現した場合には、ただちに休薬、その後CT検査を含めた適切な検査を実施し、医学的に間質性肺疾患と判断した場合には使用中止 |
医学的に間質性肺疾患と判断されなかった場合には、同一用量で使用再開 |
角膜炎 |
2 |
2週間以上継続する場合はGrade1以下になるまで休薬 |
同一用量で再開。ただし主治医判断で50mgに減量して再開可能。 |
3 |
Grade1以下になるまで休薬 |
50mgで再開 |
下痢 |
2 |
その症状が忍容できない場合はGrade1以下に回復するまで休薬 |
同一用量で再開。ただし主治医判断で50mgに減量して再開可能。 |
3 |
Grade1以下になるまで休薬 |
50mgで再開 |
発疹(ざ瘡/ざ瘡様) |
2 |
その症状が忍容できない場合はGrade1以下に回復するまで休薬 |
同一用量で再開。ただし主治医判断で50mgに減量して再開可能。 |
3 |
Grade1以下になるまで休薬 |
50mgで再開 |
ASTまたはALT |
3 |
Grade2以下になるまで休薬 |
50mgで再開 |
上記以外の非血液毒性 |
2 |
4週間以上継続した場合はGrade1以下になるまで休薬。ただし、主治医が継続投与可能と判断した場合は同一用量で使用可能。 |
50mgで再開 |
3 |
Grade1以下になるまで休薬。ただし、主治医が継続投与可能と判断した場合は同一用量で使用可能。 |
50mgで再開 |
すべての非血液毒性 |
4 |
使用中止 |
― |
血液毒性
副作用 |
休薬基準 |
使用再開時の用量 |
Grade4 の血液毒性 |
Grade2以下になるまで休薬 |
同一用量で再開 |
GradeはCECAEv3.0により評価
【その他の注意】
・国内で実施した非小細胞肺がんを対象とした特定使用成績調査における多変量解析の結果、喫煙歴有、全身状態不良(ECOG Performance Status: 2-4)間質性肺疾患の合併または既往、肺感染症の合併または既往、肺気腫または慢性閉塞性肺疾患の合併または既往が間質性肺疾患発現・増悪の危険因子として検出されました。
・海外においてEGFR遺伝子変異の有無を問わず実施した化学療法未治療の進行性非小細胞肺がん患者を対象とした2つの第III相臨床試験が実施され、プラチナ製剤を含む化学療法(ゲムシタビン/シスプラチン、およびパクリタキセル/カルボプラチン)とエルロチニブの同時併用にて臨床的な有用性は示されなかったとの報告があります。
・海外においてNSAIDsとの併用時に胃腸出血が発現したとの報告があります。
・ヒト肝ミクロソームおよびヒト遺伝子組換え型のUGTIAIを用いた試験においてビリルビンのグルクロン酸抱合の阻害が認められていることから、Gilbert症候群などのグルコロン酸抱合異常またはUGT1A1発現量が低下している人では、血清ビリルビン濃度が上昇するおそれがあります。また消失過程で主にUGT1A1によるグルクロン酸抱合を受けるイリノテカン塩酸塩水和物などの薬物との相互作用の可能性があります。
一般に高齢者では、生理機能が低下していることが多いので、状態を観察しながら慎重に服用してください。
妊婦または妊娠している可能性のある人は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用してください。やむを得ず使用する場合は、エルロシップ100使用による胎児へのリスク、妊娠中断の危険性について充分理解してください。また妊娠する可能性のある人は避妊をしてください。
授乳婦が使用する場合は授乳を中止してください。
低出生体重児、新生児、乳児、用事または小児に対する安全性は確立していません。