以下の場合、テノリック50を絶対に服用しないでください。
・洞性徐脈の人
・I度以上の心臓ブロックの人
・心臓性ショックの人
・心不全の人
・無尿症の人
・テノリック50の成分およびスルホンアミド由来薬に過敏症の既往歴のある人
【注意】
・心不全: うっ血性心不全の人では、循環機能を維持するための交感神経刺激が必要であり、β遮断は心筋収縮能をさらに抑制し、より重篤な不全を引き起こす潜在的危険性をもたらします。ジギタリス製剤、利尿剤でコントロールしている心不全のある人は、テノリック50を充分に注意して服用してください。ジギタリス製剤およびアテノロールは房室伝導の速度を遅くさせます。
心不全の既往歴のない人は、β遮断薬の長期服用による心筋の持続的機能低下が心不全へとつながる場合があります。差し迫った心不全の兆候または症状が発現した段階で、現在推奨されているガイドラインの基づく適切な治療を行ない、状況を注意深く観察してください。しばらくしても効果が現われない場合は、テノリック50の使用を中止してください。
・腎臓、肝臓病および電解質平衡異常: アテノロールは腎臓を経由して排泄されるため、腎機能に問題のある人はテノリック50を注意して服用してください。
腎臓疾患のある人は、チアザイドが高窒素血症を引き起こすおそれがあります。腎機能の悪化を呈している人では、蓄積機能が進行するおそれがあるため、腎機能の悪化が認められた場合はテノリック50の服用を中止してください。
肝機能が悪化または進行性肝臓疾患のある人では、体液や電解質平衡の微小変化が肝性昏睡を引き起こすおそれがあります。
・虚血性心疾患: 冠動脈疾患のある人が突然β遮断薬による治療を中止した場合、狭心症の悪化や、場合により心筋梗塞が発現したとの報告があるため、医師の指示なしに勝手に服用を中止しないようにしてください。明白な狭心症の症状が見られなくても、テノリック50の服用中止を計画している場合は注意深い観察の下で、適切な服用量の減量を行ない、離脱症状が現われた場合は服用量を元に戻してください。冠動脈疾患がよく見られ、認識されないおそれがあるため、高血圧治療でテノリック50を服用している人でも、突然の服用中止をしないのがよいとされています。
・カルシウムチャンネル遮断薬との併用: β遮断薬とベラパミルまたはジルチアゼムを併用した場合、徐脈や心臓ブロックが起こり、左心室拡張末圧が発症することがあります。過去に伝導異常を患った人、または心室機能障害のある人は、特に注意してください。
・気管支けいれん: 一般に、気管支けいれんのある人はβ遮断薬を服用しないでください。しかしながら、その相対的β1選択性により、テノリック50はほかの抗高血圧治療では効果が見られない気管支けいれんの人に、注意深く使用されることがあります。β1選択性は絶対ではないため、テノリック50の最低服用量を使用し、β2刺激薬(気管支拡張剤)を服用してください。増量の必要がある場合は、低ピーク血値を達成するために分割服用を検討してください。
・麻酔、手術: 多くの場合、手術前にβアドレナリン受容体遮断薬の服用を中止するのは好ましくないとされていますが、心筋を抑制するなどのおそれのある麻酔薬を使用する際は注意してください。万一発生した場合は、アトロピンなどで迷走神経優性を修正してください。
β遮断薬はβ受容体作動薬の競合的阻害薬で、心臓に対する効果はこれらの薬剤(ドブタミン、イソプロテレノールなど)を注意して服用することによって逆転します。
・代謝と内分泌効果: 糖尿病の人はテノリック50を慎重に服用してください。β遮断薬は低血糖で起こる頻脈をマスクするおそれがありますが、めまいや発汗などほかの兆候には大きな影響はないとされています。また推奨量でのアテノロールの服用は、非選択性β遮断薬とは異なりインスリン誘引の低血糖を増強せず、また血糖値が正常に戻るのを遅延させません。
βアドレナリン遮断は、甲状腺機能亢進症の臨床的徴候(頻脈など)をマスクするおそれがあります。β遮断薬の急激な服用中止は甲状腺クリーゼを引き起こすおそれがあります。甲状腺機能亢進症の進行が疑われる人でテノリック50の服用を中止する人は、充分な観察が必要です。
カルシウムの排出はチアザイドにより減少するため、副甲状腺機能検査の実行前にテノリック50の服用を中止してください。高カルシウム血症および低リン血症を伴う副甲状腺の病理学的変化が、チアザイドによる延長治療において観察されています。しかし、副甲状腺機能亢進症の一般的な合併症である腎臓結石症、骨吸収、消化性潰瘍などは見られていません。
チアザイド治療を受けている人で、高尿酸血の発症や急性痛風の促進が起こることがあります。
・未治療の褐色細胞腫: 未治療の褐色細胞腫の人はテノリック50を服用しないでください。
【基本的な注意】
・テノリック50は末梢動脈循環障害を悪化させるおそれがあります。
・潜在的電解質不均衡を発見する血清電解質の定期的判定を、定期的に行なってください。
・低ナトリウム血、低クロール血性アルカローシス、低カリウム血など、体液や電解質不均衡の臨床的徴候を観察してください。特に代謝および尿中電解質測定は、過剰な嘔吐や非経口的液体の摂取時などに特に重要です。体液および電解質不均衡の前兆や症状として、口渇、疲労感、無気力、めまい、情動不安、筋肉痛、筋けいれん、筋肉疲労、低血圧、乏尿、頻脈、嘔吐や吐き気などの胃腸障害などが挙げられます。
・特に高齢者、ジギタリス製剤服用の心不全の人、食事摂取によるカリウム量が異常に低い人、胃腸病の人において、カリウム値の測定を行なうのが望ましいとされています。
・特に利尿が活発な人やコルチコステロイド、ACTH(副腎皮質刺激ホルモン)と併用中の人では、低カリウム血症が進行するおそれがあります。
・経口による電解質の摂取が不充分な場合も、低カリウム血症をもたらします。低カリウム血症は、ジギタリス製剤の毒性効果(心室興奮増加など)に対する心臓の反応を敏感にしたり、誇大する可能性があります。低カリウム血症は、カリウム補給剤の摂取、高カリウム含有食品の摂取により予防または治療することができます。
・チアザイド治療中のいかなる塩化物不足は一般的に軽症で、特別な状況(肝疾患、腎疾患など)以外は特に治療を必要とはしません。浮腫の人は暑いときに希釈性低ナトリウム血症になることがあります。ごくまれに低ナトリウム血症が生命を脅かす場合を除いて、塩の投与よりはむしろ水摂取制限の方が適切な治療です。実際に塩分不足の場合、選択した治療法が適切な補給方法です。
・チアザイドを摂取している人は、アレルギーまたは気管喘息既往の有無にかかわらず、過敏反応が起こることがあり、全身性エリテマトーデスの悪化や活性化の可能性が報告されています。チアザイドの抗過敏効果は、交感神経切除をした人では増進することがあります。
妊婦または妊娠している可能性のある人は、治療の必要性が危険性を上回る場合に限り服用を検討してください。
授乳中の人に対する安全性は確立していません。