細菌やウイルスなどの病原体、また怪我ややけど、薬物などの刺激、アレルギー反応など、生体が何らかの有害な刺激を受けたときに起こす防御反応のことを「炎症」といいます。
その症状は、腫れ、むくみ、赤みなどがあります。
これは患部に血流を増加させることで治癒を促進させようとする生体反応ですが、通常は同時に痛みも伴います。
このような炎症を抑えて痛みやはれを軽くする助けをする薬を「抗炎症薬」と言い、主に「ステロイド系抗炎症薬」と「非ステロイド系抗炎症薬」に分けられます。
「ステロイド系抗炎症薬」は、体内で作られている副腎皮質ステロイドホルモンと類似した物質が含まれており、抗炎症作用のほかに免疫抑制作用を示します。
優れた抗炎症効果を持つ一方で、長期服用により胃腸障害や、白内障、緑内障などといった副作用が現れることがあります。
「非ステロイド系抗炎症薬」は、炎症の原因となるプロスタグランジンの産出を抑えることで、はれや痛みを緩和します。
しかし胃炎や胃潰瘍などの副作用が起こることがあります。
メドロールの主成分であるメチルプレドニゾロンはステロイド系抗炎症薬に属し、従来のヒドロコルチゾン、コルチゾンといった成分よりも強い抗炎症作用を示す上に、塩類や水代謝作用は逆に少なくなっています。
またその優れた作用から適応症状の幅が広いのが特長です。
メドロールの主な効能・効果は以下のとおりです。
1.内科・小児科
・内分泌疾患
急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)、慢性副腎皮質機能不全(原発性、続発性、下垂体性、医原生)、副腎性器症候群、亜急性甲状腺炎、甲状腺中毒症(甲状腺クリーゼ)、甲状腺疾患に伴う悪性眼球突出症、ACTH単独欠損症
・膠原病
リウマチ熱(リウマチ性心炎を含む)、エリテマトーデス(全身性および慢性円板状)、多発性筋炎(皮膚筋炎)、全身性血管炎(大動脈炎症候群、結節性動脈周囲炎、多発性動脈炎、ヴェゲナ肉芽腫症を含む)
・アレルギー性疾患
気管支喘息、喘息性気管支炎(小児喘息性気管支炎を含む)、薬剤その他の化学物質によるアレルギー・中毒(薬疹、中毒疹を含む)、血清病、じんましん(慢性例を除く・重症例に限る)、アレルギー性血管炎およびその類症(急性痘瘡様苔癬状粃糠疹を含む)
・血液疾患
溶血性貧血(免疫性または免疫性機序の疑われるもの)、白血病(急性白血病、慢性骨髄性白血病の急性転化、慢性リンパ性白血病・皮膚白血病含む)、顆粒球減少症(本態性、続発性)、紫斑病(血小板減少性および血小板非減少性)、再生不良性貧血、凝固因子の障害による出血性素因
・神経疾患
脳脊髄炎(脳炎、脊髄炎を含む・ただし一次性脳炎の場合は頭蓋内圧亢進症状がみられ、かつ他剤で効果が不充分なときに短期間服用のこと)、末梢神経炎(ギランバレー症候群を含む)、多発性硬化症(視束脊髄炎を含む)、小舞踏病、顔面神経まひ、脊髄蜘網膜炎
・消化器疾患
限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、劇症肝炎(臨床的に重症とみなされるものを含む)、胆汁うっ滞型急性肝炎、慢性肝炎(活動型、急性再燃型、胆汁うっ滞型・ただし、一般的治療に反応せず肝機能の著しい異常が持続する難治性なものに限る)、肝硬変(活動型、難治性腹水を伴うもの、胆汁うっ滞を伴うもの)
・呼吸器疾患
微慢性間質性肺炎(肺線維症・放射線肺臓炎を含む)
・結核性疾患
結核性髄膜炎、結核性胸膜炎、結核性腹膜炎(いずれも抗結核剤と併用)
・循環器疾患
ネフローゼおよびネフローゼ症候群、うっ血性心不全
・重症感染症
重症感染症(化学療法と併用)
・新陳代謝疾患
特発性低血糖症
・その他内科的疾患
サルコイドーシス(ただし、両側肺門リンパ節腫脹のみの場合を除く)、重症消耗性疾患の改善(がん末期、スプルーを含む)、悪性リンパ腫(リンパ肉腫症、細網肉腫症、ホジキン病、皮膚細網症、菌状息肉症)および類似疾患(近縁疾患)、好酸性肉芽腫、乳がんの再発転移
2.外科
臓器・組織移植、侵襲後肺水腫、副腎皮質機能不全の人に対する外科的侵襲、蛇毒・今中毒(重症の虫さされを含む)
3.整形外科
関節リウマチ、若年性関節リウマチ(スチル病を含む)、リウマチ性多発筋痛
4.泌尿器科
前立腺がん(ほかの療法が無効の場合)、陰茎硬結
5.眼科
内眼・視神経・眼窩・眼筋の炎症性疾患の対症療法(ブドウ膜炎、網脈絡膜炎、網膜血管炎、視神経炎眼窩炎性偽腫瘍、眼科漏斗尖端部症候群、眼筋まひ)、外眼部および前眼部の炎症性疾患の対症療法で点眼が不適当または不充分の場合(眼瞼炎、結膜炎、角膜炎、強膜炎、虹彩毛様体炎、眼科領域の術後炎症 )
6.皮膚科
湿疹・皮膚炎群(急性湿疹、アトピー皮膚炎、接触皮膚炎、貨幣状湿疹、自家感作性皮膚炎、アトピー皮膚炎、乳・幼・小児湿疹、ビダール苔癬、その他の神経性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、進行性指掌角皮症、その他の手指の皮膚炎、陰部あるいは肛門湿疹、耳介および外耳道の湿疹・皮膚炎、鼻前庭および鼻翼周辺の湿疹・皮膚炎など・ただし、重症例以外は極力服用しないこと)、痒疹群(小児ストロフルス、じんましん様苔癬、固定じんましんを含む・ただし、重症例に限る。また固定じんましんは局注が望ましい)、乾癬および類症(重症例の尋常性乾癬、関節症性乾癬、乾癬性紅皮症、膿疱性乾癬、稽留性肢端皮膚炎、疱疹状膿痂疹、ライター症候群)、掌蹠膿疱症(重症例に限る)、扁平苔癬(重症例に限る)、成年性浮腫硬化症、紅斑症(多形滲出紅斑、結節性紅斑・ただし、多形滲出性紅斑の場合は重症例に限る)、アナフィラクトイド紫斑(単純型、シェーンライン型、ヘノッホ型)、ウェーバークリスチャン病、粘膜皮膚眼症候群(開口部びらん性外皮症、スチブンス・ジョンソン病、皮膚口内炎、フックス症候群、眼症状のない場合のベーチェット病、リップシュッツ急性陰門潰瘍)、レイノー病、円形脱毛症(悪性型に限る)、天疱瘡群(尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、Senear-Usher症候群、増殖性天疱瘡)、デューリング疱疹状皮膚炎(類天疱瘡、妊娠性疱疹を含む)、先天性表皮水疱症、帯状疱疹(重症例に限る)、紅皮症(ヘブラ紅色粃糠症を含む)、顔面播種状粟粒性狼瘡(重症例に限る)、潰瘍性慢性膿皮症、強皮症
7.耳鼻咽喉科
血管運動(神経)性鼻炎、アレルギー性鼻炎、花粉症(枯草熱)、進行性壊疽性鼻炎、耳鼻咽喉科領域の手術後の後療法、難治性口内炎および舌炎(局部療法で治癒しないもの)